ウィジェットが企業メディアとして台頭する時勝ち残る企業のWebプロモーション(3/3 ページ)

» 2009年06月20日 08時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]
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ウィジェットでサーバを売る術

―― ウィジェットはどのように市場に普及してきたのでしょうか

竹下 ウィジェットという言葉が市場に出てきたのは2005年ごろです。当時は企業のプロモーション活動の一環にウィジェットを使うという「デジタルインセンティブ」、いわばおまけのような位置付けでした。

 その後企業がそれぞれWebサイトを持ち、メールマガジンやRSSを使った「プッシュ型」のマーケティングを始めました。Web2.0の台頭に伴い、検索エンジンを使って情報を能動的に集めるユーザーが激増したのもこの時期です。

 ユーザーが情報収集の手法を変化させたことに伴い、ウィジェットに対する企業の意識も徐々に変わってきました。2006年以降、FacebookMySpaceなど米国の大手SNSでウィジェットを取り入れたWebサービスが始まったり、日本ではブログのサイドバーにウィジェットを露出するといった動きが目立ち始めたりしました。SNSやブログに張ったウィジェットが口コミで広がることに、企業も目を付けたのです

 2008年はドコモやau、ソフトバンクなどが携帯電話でウィジェットサービスを提供するなど、企業が自社サービスとウィジェットをどう連携できるかを考えるようになりました。マーケティングツールとしても活用できるという認識が広まった1年だったといえるでしょう。

―― ソニーのαの事例ですが、これはデジタルカメラというコンシューマー向けの商品で、Webマーケティングの商材として適していました。ITベンダーが提供するサーバやストレージなど購買層が限られている商品でも、ウィジェットを使った販売促進ができるのでしょうか。

竹下 結論から言えば可能です。テレビコマーシャルとして放映されていた「ヤン坊マー坊天気予報」が好例といえるでしょう。このCMではヤンマーの農作機器ではなく、天気予報というコンテンツを前面に打ち出しました。天気予報という誰もが親しみやすいコンテンツを見せ続けることで、結果的にヤンマーという企業の知名度アップに貢献したのです。

 これと同じ工夫をすれば、ウィジェットでサーバやストレージの販売促進を展開できます。例えばIT関連のニュースを配信するウィジェットを作り、その一部にベンダーの商品情報を表示するといった施策が考えられます。要するに、コンテンツの中身がユーザーにとって価値のあるもので、「ブログに張りたい、口コミで知人に伝えたい」と思わせるようなウィジェットを作ることを心掛ければいいのです。

 シュレッダーを販売する企業がデスクトップ常駐型の「ゴミ箱ウィジェット」を作ったとします。不要になったファイルをドラッグ&ドロップでゴミ箱に捨てると、アイコンが動き、それと同時にシュレッダーのメッセージを表示するといった作りにすれば、その企業の商材をユーザーに連想させることができます。

 ウィジェットは、企業のメッセージがなければメディアにはなりません。サーバやストレージとは一見関係がないように見えるウィジェットでも、そこに企業のメッセージをきちんと載せて、見てもらえるようにコンテンツを作り込む。それがユーザーに届けば、そこから新たなユーザーに商品情報を届けることができるのです。

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