「われわれはこういった発展を喜んでいるが、クラウドが成長するのに伴い、顧客の要求も高くなってきた。“Googleのクラウドを歓迎しているが、われわれの業務をすべてカバーしているわけではない。ほかのクラウドソリューションを提供しているベンダーも検討しようと思っているが、経費精算、人事、会議予定管理などを含めた業務全体をクラウドで運用する方法が分からない”という声も聞こえてくる」――グレーザー氏はCampfire Oneイベントに先立って行われたブリーフィングでこのように語った。
Google Apps Marketplaceの挑戦を受けるSalesforce.comはこの10年余り、Force.comとAppExchangeプラットフォームの強化に力を入れてきた。Force.comは、メインとなるSalesforceアプリケーションと連係し、Salesforce.comのクラウドコンピューティングインフラ上でホスティングされるアドオンをサードパーティーデベロッパーが開発できるようにする。
AppExchangeは、サードパーティーデベロッパーがSalesforce向けに開発したアプリケーションのディレクトリで、ユーザーはこれらのアプリケーションを購入し、自社のSalesforce.comシステムに追加できる。Salesforce.comのAppExchangeとGoogle Apps Marketplaceには、Appirioなど共通のパートナーも参加している。
Google Apps Marketplaceにはそのほかにも、IntuitやAtlassian Softwareといったパートナーが参加している。「Intuit Online Payroll」は小規模企業向けのアプリケーションで、給与管理、納税、従業員による給与明細確認といった機能を提供する。Atlassian Softwareのホステッドソフトウェア開発スイート「JIRA Studio」では、Gmail、Google Calendar、Google Docsなどの設計・開発ツールを切り替えながら開発プロジェクトを管理できる。
企業のドメインに導入したサードパーティーのアプリは、Googleのネイティブアプリのように動作する。Google Apps MarketplaceではOpenIDを利用することにより、ユーザーがシングルサインオンでログオンし、Google Appsからサードパーティー製アプリを開けるようにしている。管理者は、ユーザーがMarketplace内のアプリをGoogle Calendar、Gmail、Google DocsなどのGoogle Appsのデータと連係させるのを許可できる。
またGoogle Apps Marketplaceは、サードパーティー製アプリに適用されるソフトウェア更新の処理も行うので、ユーザーにとっては面倒な作業が1つ軽減されることになる。
Google Apps Marketplaceのプロダクトマネジャーを務めるクリス・バンダー・メイ氏が米eWEEKに語ったところによると、Googleでは同マーケットに参加するための登録費100ドルに加え、ユーザーがアプリを購入する際に発生する売り上げの20%を徴収するという。これらの費用は、購入・導入にかかわる処理に加え、インストール可能なアプリ専用の連係機能をカバーするという。
このサービスが利用可能になるまでの間、デベロッパーは課金APIを通じて独自のスケジュールと条件に基づいて課金処理を行う必要がある。Googleでは今年中にGoogle Checkoutによって課金処理を行い、デベロッパーが価格と利用期間を設定するシステムを実現する計画だ。
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