早いもので2007年も残すところあと少し。デジモノ家電を読み解くキーワードを紹介するこのコーナー、年末特別企画の第1弾として、2007年におけるテレビとレコーダーのトレンドを振り返る。
薄型テレビは今年もまた液晶の年だった。電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2007年地上デジタルテレビ放送受信機国内出荷実績(本稿執筆時点では10月分までの累計)によれば、地上デジタル放送対応テレビの出荷台数1651万9000台のうち、液晶が占める割合は1348万5000台と8割を超えた。
液晶独り勝ちの状況下、ソニーが満を持して投入したのが「有機ELテレビ」。市場へ投入された「XEL-1」は画面サイズこそ11V型と小ぶりだが、最薄部は約3ミリでチューナー部をあわせた重量は約2キロ、そのうえコントラスト比は100万対1と高性能。大型モデルの投入や量産化による価格下落効果が現れれば、有機ELが薄型テレビ市場を席巻することは確実だろう。
薄型テレビの価格競争は激しく、メーカー各社の消耗戦の様相を呈している。特にボリュームゾーンの30〜40インチ台は競争が熾烈なため、各社はパネルの大型化による単価向上を目指す一方で、他社製品との差別化を図りはじめた。その現象を物語るキーワードが「付加価値」だ。
付加価値として今年定着したのが「フルHD対応」。1920×1080ピクセルのハイビジョン映像を、情報を間引くことなくそのまま表示できる解像度を備えるかどうかが、パネルサイズとともに重要視されるようになった。
HDVDレコーダーなど外部機器との連携も、付加価値として重要視されるようになった。HDMIコントロール(CEC)をベースにした東芝の「レグザリンク」、松下の「ビエラリンク」といった自社製品間における接続規格が拡張/整備される一方、PC用「eSATA」を録画機器との接続方式として採用した東芝の「REGZA H3000シリーズ」、同じくPC用に開発されたリムーバブルHDD「iVDR」を採用した日立製作所の「Wooo 01シリーズ」はその典型例といえるだろう。
シャープの「AQUOS Pシリーズ」も、22/26V型でフルHD対応を実現しつつPCでの利用も考慮したという点で、付加価値強化タイプの製品だといえる。
薄型テレビの市場動向を左右する「地デジ移行問題」はといえば、Xデーである2011年7月24日までに完了しないのでは、という噂もささやかれ始めた。11月末に総務省が発表した、「デジタル放送推進のための行動計画(第8次)(リンク先PDF)によれば、地デジ受信機を所有しているのは国内5000万世帯のうち1400万件(2007年3月時点)と約28%。2008年度中には、北京五輪の効果により普及率50%を突破する見込みとのことだが……。地デジはテレビの新しいインフラであるだけに、達成の可否は要注目だ。
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