米Appleが9月1日(現地時間)、報道関係者向けの説明会を開催し、デジタルオーディオプレーヤーの新しいラインアップ「iPod shuffle」「iPod nano」「iPod touch」を披露した。その説明会でCEOのスティーブ・ジョブズ氏は、iOSのアップデートスケジュールに言及。次期iOS、iOS 4.1およびiOS 4.2の機能の一部も“チラ見せ”した。
iOS 4.1は、iPod touchを含む新しいiPodのラインアップが発売される来週、無料のアップデートとして提供される。iPhone向けのアップデートがいつ提供されるかは明らかにされていないが、iPod touch向けは9月8日から配信の予定だ。
iOS 4.1では、近接センサーの不具合の修正や一部のBluetooth機器との接続問題の解消、iPhone 3Gでの動作速度の向上などを含むバグの修正が行われているほか、いくつかの新機能も搭載される。
新機能の1つがカメラ機能に追加される「HDR Photo」(HDR写真)だ。HDRとは、High Dinamic Rangeの略で、文字通りダイナミックレンジの広い写真が撮影できる機能となっている。ダイナミックレンジというのは、認識可能な信号の最大値と最小値の比率。デジタルカメラのセンサーでは、認識できず黒つぶれしてしまう領域から白飛びしてしまう領域までの範囲のことを指す。デジタルカメラの撮像素子のダイナミックレンジは、自然界のダイナミックレンジよりはるかに狭い。そのため、例えば窓際に立った人物を屋内から撮影すると、顔が真っ黒に、窓の外は真っ白に写ってしまうようなことがある。
HDR写真は、露出を変えながら複数枚の写真を撮り、後で合成することで、写真の一部が白く飛んだり、黒くつぶれたりするのをおさることが可能で、コントラストが高い被写体を、より美しく色鮮やかに撮れる場合がある。前述のような逆光の窓際の写真なども、人物と窓の外の両方を写せる。iOS 4.1では、標準状態で撮影した写真とHDR写真を両方保存できるようになるので、必要に応じてダイナミックレンジが広い写真を残すことが可能になる。
もう1つの注目機能は「Game Center」だ。新たなアプリケーションとして提供されるGame Centerは、通信対戦などが楽しめるソーシャルゲームプラットフォームである。初期状態では19の対戦ゲームが登録されており、あらかじめ登録してある友人にPush通知を送ってネットワーク対戦ゲームに誘ったり、マッチメイキング機能を利用して見知らぬ相手と対戦したりできる機能も提供する。ネットワーク上でスコアを競ったり、獲得したアチーブメントを見比べたりする機能もあるようだ。
またiPhone 4で撮影したHD動画を、YouTubeやMobileMeに直接アップロードする機能や、iTunes 10から提供される音楽を介したソーシャル機能「iTunes Ping」などもiOS 4.1で利用可能になる。一部地域ではテレビ番組を1話あたり99セントで借りられるレンタルサービスも提供される。
今秋予定されている「iPad」のマルチタスク対応やフォルダ対応を実現するiOS 4.2の配信は、11月に予定されていることも明らかになった。iOS 4.2は、iPhone、iPod touchとiPad向けに配信予定で、iOS 4.1までに提供されるすべての機能がiPadでも利用可能になる。
それに加えて、新たにワイヤレス印刷機能が標準搭載される。具体的にどのような機能かは分からなかったが、現在アプリケーションベースで提供されている写真などの印刷機能がiOSにプリセットされるのかもしれない。
またiOS 4.2には新機能「AirPlay」も搭載される。これは今まで「AirTunes」と呼ばれていた機能の拡張版で、AirPlayに対応したスピーカーDockやアンプ、iTunes 10をインストールしたMacやPCに、Wi-FiやEthernet経由で音楽、映像、写真をストリーミング配信できる機能だ。
新たに登場するApple TVもこのAirPlayに対応しており、例えばiPadやiPhoneからApple TV経由で、自宅のTVに映画や写真をストリーミング表示したりできる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR