テレビ電話のイメージが変わる? 家族と「FaceTime」を使ってみた(1/3 ページ)

» 2010年08月27日 13時30分 公開
[園部修,ITmedia]
Photo FaceTimeというテレビ電話機能を新たに搭載した「iPhone 4」

 出張中と思われる男性と、自宅にいる奥さんと娘がバースデーケーキに火を付け、iPhone 4で楽しそうに話しているテレビCMや、ウェディングドレスの試着をしながら、女性が涙ぐむ母親とiPhone 4で話をするテレビCM、あるいは恋人同士と思われる2人が手話で会話をしているテレビCMを見たことがある人も多いだろう。このCMで使われているのが、iPhone 4に搭載された「FaceTime」という新機能だ(見たことがなければこちらで映像が公開されている)。

 FaceTimeは、一言で言ってしまうと“テレビ電話”である。端末に搭載されたインカメラもしくはアウトカメラで撮影した映像を、ネットワークを通じてリアルタイムに相手の端末のディスプレイに表示する、映像付きの電話。日本では携帯電話が登場する前から、その概念は相手の顔を見ながら通話できる“未来の電話”の機能としてよく知られており、3Gケータイの一般的な機能として今も多くの端末に搭載されている。

何に使うのかよく分からない機能の1つになっていたテレビ電話

Photo iPhone 4のインカメラは受話部のすぐ横にある。インカメラは日本の3Gケータイの多くに普通に搭載されており、テレビ電話自体は今さら取り立てて騒ぐような機能ではない。しかし実際に利用している人はほとんどいない

 その認知度の高さの一方で、テレビ電話機能は長らくあまり大きな注目を集めることはなかった。通信回線の容量の問題もあり、サービスが提供され始めたころは映像がコマ送りで紙芝居のようだったし、その後フレームレートが上がっても画質が悪かったりしたため、機能自体は認知されていたものの、積極的には使われなかった。

 また、テレビ電話を利用すると料金が高くなるという点も大きな足かせだったことは想像に難くない。3Gケータイのテレビ電話機能は、通話料が一般的な音声通話の1.8倍かかる。基本料金が一番安く、通話料が30秒あたり21円の料金プランだと、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルのいずれもテレビ電話にかかる料金は30秒あたり37.8円。たいていの場合無料通話分は利用できるが、家族間でも通話料は割引きになるものの定額や無料にはならず、使った分だけ料金がかかる。料金の検証をするのが目的ではないので詳細は割愛するが、従量課金というのはやはり心理的な抵抗が強い。

 ユーザー側の意見として、「寝起きやノーメイクの顔は見られたくない」とか、「周りの景色を見られると困る」とか、映像が相手に送られることに伴う弊害を気にする声が根強くあるのも事実だ。音声だけの電話ならいいが、映像が付くテレビ電話では、話したくなくても伝わってしまう情報がいろいろある。

 そんな理由もあってか、キャリア各社も積極的にテレビ電話の啓発活動はしてこなかったように思う。利用を促進するようなキャンペーンも近年は行われていないし、特にここ数年はインカメラを搭載しないケータイも増えた。テレビ電話は、ケータイの中の“数ある何に使うのかよく分からない機能”の1つになってしまっていた。

 しかし最近では、PCのインスタントメッセンジャーやSkypeなどで、Webカメラや内蔵カメラを使って、無料でテレビ電話ができる。企業でも電話会議に変わってテレビ会議が導入されたりと、映像を交えたコミュニケーションを取る機会は増えている。もしかしたら、テレビ電話に対する認識も、以前とは変わってきているのかもしれない。

 そんなところにiPhone 4が注力機能の1つとしてテレビ電話機能「FaceTime」を搭載してデビュー。iPhone 4のテレビCMでは、これまでのアプリを訴求するものから一転、華々しくFaceTimeだけをフィーチャーしている。離れている家族や恋人という、ユーザーに刺さりやすいイメージとムーディーな音楽で、見る人の心をぐっとつかむ演出が心憎い。

FaceTimeは高画質で無料、でも相手は必要

Photo 相手の表情を見ながら会話できるFaceTime。無線LAN環境と2台のiPhone 4があれば通話料は無料

 FaceTimeは、テレビ電話ではあるが、今までのケータイのテレビ電話とは異なる点がいくつかある。1つは無線LAN環境が必ず必要なこと。もう1つは追加料金が無料であること。そしてもう1つは相手がiPhone 4である必要があることだ。以下に細かく見ていこう。

 FaceTimeを利用するには、無線LANのエリアにいる必要がある。これは映像と音声の送受信に3Gのネットワークではなくインターネットを利用するからで、ここがケータイのテレビ電話とは決定的に違う点だ。無線LAN経由でインターネットにつないでしまえば、3Gよりも高速に通信できるため、画質の高い映像の送受信が可能だ。また3Gのネットワークに負荷をかけることもないので、キャリアに嫌がられることもない。将来的には3Gでも利用できるようにする意向があるようだが、恐らくこれはAppleだけでは解決できない問題。このあたりは今後の展開に期待したい。

 料金は、前述のとおり無線LAN経由でインターネットにつなぐため、インターネットの回線使用料だけでいい。つまり、すでに自宅に無線LAN環境があれば追加料金は0円ですむ。IP電話のようなコスト感で利用できるわけだ。iPhone 4を買うような家であれば、家庭にADSLや光ファイバーなどのブロードバンドインターネット接続回線がない、というケースはまれだろう。無線LAN環境がないケースは考えられるが、iPhone 4購入時にもらえるFONの無線LANルーターを設置すればいい。

 相手がiPhone 4である必要がある、という点は、目下の最大の障壁かもしれない。日本国内では、品薄状態もだいぶ解消されつつあり、店頭在庫を持つ店も出てきているようだが、まだ店舗にふらっと行ってすぐに契約できない地域も残っている。FaceTimeはiPhone 4ならではの魅力にはなっているが、家族でiPhone 4を2台持っていたり、親類や親しい友達にiPhone 4ユーザーがいないと利用できないのが残念だ。

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