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「イヤフォン組み立て教室」に“刻の涙”を見た(2/2 ページ)

» 2012年06月26日 20時40分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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答:ケーブルに通したブッシュ(根元のパーツ)が上下逆さま

……泣ける


 先にケーブルに通していたブッシュが逆さまだった。金属製のブッシュは片側にネジが切ってあり、逆さまの状態ではボディーに固定することができない。あらためて組み立てマニュアルをめくると、ブッシュをケーブルに通したのは「手順1」だ。つまり、この状態を正すためには、これまでの作業をすべてやり直す必要がある。さらにハンダを外す作業も追加だ。

 神の手を持つエンジニアに泣きつこうかとも考えたが、あまりにも恥ずかしいミスに躊躇(ちゅうちょ)する。こっそりと周囲を見回し、一般参加者やスタッフがまだ気付いていないことを確認すると、開き直ってやり直すことに決めた。

 この手の致命的なミスに小手先のごまかしは効かない。根本的にやり直すのが、一番の近道だ(と、ガンプラで学んだ)。

 すでに冷えていたハンダごてを再びコンセントにつなぎ、しばし素知らぬ顔で待つ。暖まったら一気に分解を開始。わずか2ステップでドライバーからケーブルを外し、結んだケーブルをほどいてブッシュを正しく入れ直した。クセがついて結びやすくなっていたケーブルを結び直し、再びハンダ付け。きっとハンダ付けの神様が味方してくれたのだろう。参加者の皆さんがダストフィルターの接着に集中している中、一人だけハンダの溶けるニオイを漂わせつつ、一気に作業を進めた。

つまようじで音導管にスポンジを詰め込む(左)。ボディー背面の穴に丸く切られたアルミテープを貼り、つまようじでちょっと穴を開ける(右)

 つまようじで音導管にスポンジを詰め込み、音導管の口に接着剤を塗ってダストフィルターを接着。ようやくにまわりに追いつき、一息つくことができた。

 最後は、ボディー背面の穴に丸く切られたアルミテープを貼り、つまようじで穴を開ける。キットにはテープと同じ形のアルミ板(0.2ミリ厚)が付属しており、アルミテープで好みの穴のサイズを見つけたら、アルミ板に取り換えて美しく仕上げるという寸法だ。このあたりは、大阪会場のフィードバックを受けて改善した部分とのことで、東京会場の参加者は大阪の皆さんに感謝しなければならないだろう。なのに、「僕は密閉型で行こうかな」などと、穴を開ける手間すら惜しむ某編集長がいたことは秘密だ。

 イヤーピースを取り付ければ、ついに完成。改めて手持ちのiPhoneに接続し、音が出ることを確認した。音の確認は2度目になるが、その間にいろいろあったので、ちゃんと音が聞こえた瞬間は本当に感動した。

ついに完成

完成はスタート

 既に触れたように標準筐体は通常よりも大きく、ダイナミック型のドライバーを使っていることもあって低音が非常に豊か。言い方を変えるとブーミーである。これをどのようにチューニングしていけば良いのだろうか。

 「今日の音はスタートです。このイヤフォンキットは、誰にでも扱えるように作っているため、“最高点”まではいきません。でも、ちょっと変えるだけで音が変化して楽しい。遊んでみれば、各メーカーがどのように工夫してイヤフォンを作っているか、分かってくると思います」(細田氏)

立派な金属製ケースも付いてくる

 例えば背面のアルミテープに開けた穴を大きくすると低音がさらに豊かに。逆に穴を小さくしたり、筐体内の容積を減らすと低音は抑えられる。またダストフィルターの素材を適当なものに変更するだけでも音は違ってくるため、日々良い音を求めている開発者は、繊維状の物体を見ると何でもフィルターに見えてくるという。「東急ハンズなんかに行ったら、もう大変です」。


 現場の開発者と直接話ができ、奥深い音質チューニングの入り口を知ることもできた今回のイベント。キットもよく考えられたもので、初心者にも分かりやすく高級感もある。自分好みにカスタマイズできるイヤフォンを手に入れたことで、参加者のオーディオライフは確実に豊かになるだろう。なにより、このイベントを2回だけで終わりにするのはもったいない。ファイナルオーディオデザインとe☆イヤホンには、是非とも継続していただきたいと思う。告知だけなら弊誌もお手伝いできる(投資はできません)。

「e☆イヤホン」広報の西亮太マネージャーも継続を求めている

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