次に取り上げるのも米国発のブランド。小規模技術者集団「AUDEZE」(オーデジー)が6月に発売を予定しているのは平面駆動型の軽量オーバーイヤーヘッドフォン「SINE On-Ear」だ。通常の3.5mmミニプラグ接続と超小型DAC内蔵のLightning接続モデルが用意されており、市場予想価格はミニプラグモデルが5万4800円、Lightningモデルが6万2800円。Lightning接続ケーブルは単体での販売も予定しているという。
一般的なダイナミックドライバーが一点で駆動力を生むのに対して、平面駆動方式は面で駆動力を生むため、通常のダイナミック型よりもドライバーがクイックに反応し、機敏な音を鳴らす(また、静電駆動方式は電荷を帯びた薄型フィルムをドライバーとするため、特有の軽快さが生まれる)。その反面、平面駆動型はダイナミック型と比較すると迫力やパワー感に欠ける傾向になりがちだが、このSINE On-Earは平面駆動特有の軽快さと、平面駆動にしては元気な鳴りっぷりが特徴的だ。
また、同ブランドのヘッドフォンは200Ωのハイインピーダンスモデルを用意するなど、駆動にあたってはかなりのパワーを求められるモデルも少なからずある。一般的な例に漏れずハイクラスになると駆動力を求められて鳴らしにくいが、本製品はポータブル向けに作られており、ポータブルプレーヤーの直刺しでも結構イイカンジに鳴ってくれる。手持ちの「AKjr」の直刺しを試してみたところ、なかなかの鳴りっぷりであったことを書き添えておきたい。
3点目は、やはり新興ブランドであるCROSSZONEの「CZ-1」を紹介しよう。これの駆動方式は一般的なダイナミックドライバーだが、大きな特徴は26mmツイーター、40mmウーファーの2Wayとなっていること。加えてスピーカー的な反響を表現するために、2Wayとは別にもう1つ40mmユニットを逆チャンネルで用いている。これによりヘッドフォンでありながらスピーカーのような前方定位を、DSPを使わずに達成したという。
CZ-1はスプリングが片チャンネルにつき1点のヒンジのみで、頭の形を問わずに側圧を抑えつつ高いホールド性を保つ。これにより、通常のヘッドフォンと比較して長時間の使用でもストレスが少ないという。
生産を担当するCROSSZONEはパイオニアの元開発者らが作った会社で、デジカメのOEMなどを担ってきた中国の光学メーカーが出資元。ヘッドフォン事業に乗り出すにあたって、一般的な形式のものでは新興ブランドの意味がないということで、あえて複雑な非DSPでの前方定位にこだわった。生産は信州の長野県岡谷市。特産品の絹をユニットカバーに用いているなど、目に触れにくい部分にまでコダワリが息づいている。
販売はトライオードが担当し、発売は6月の予定。希望小売価格は税別25万円となっている。
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