バリスタiのもう1つのハイライトが、モバイルアプリで使えるコミュニケーション機能だ。ここで最初に作成した「コミュニティID」の出番。アプリの画面、下の右から2番目にあるアイコンをタップして「友達」のタブを選ぶ。同じバリスタiを使っている家族や友人がいれば、その人のコミュニティIDを教えてもらって検索するとお気に入りに登録できる。家族や友人がいつ、どんな気分でコーヒーを飲んでいるかがアプリに表示されるという仕組みだ。なお「気分」を伝える機能はそんなに複雑なものではなく、コーヒーを淹れ終わるたびに表示されるキャラクターのアイコンの表情を選んでシェアするというものだ。
遠方に住む家族の様子を見守りたいときに使えそうだ。ただ、筆者がもしこれを親とシェアすることを考えた場合、スマホを使いこなせていない母親に毎度「バリスタiでコーヒーを淹れるときはスマホを使ってくれ」と縛りをかけるのも無理がある。例えばバリスタiをWi-Fiなどにつないでおけば、あとは本体のボタンから操作した場合でもコーヒーを淹れた履歴や気分をオンライン経由でシェアできるようになればいっそう便利だ。
全く面識のないバリスタiのユーザーとも、自分のコミュニティIDをフェイスブックやツイッター経由でシェアした後、「チアーズ」と呼ばれるアプリの機能を使って、ユーザーからユーザーへ「メッセージを送る」ことにより、つながることもできる。ただ、見知らぬ人とつながるために、いきなりメッセージを送るというのはいかにもハードルが高い。こちらも例えば、公開したプロフィールに友達リクエストを送ってもらい、仲良くなれそうなユーザーを「承認」して結び付くなど、ワンクッションが欲しいと思う。
バリスタiはコーヒーマシンとしては操作が簡単でよく練り上げられている。コンパクトなので置き場もあまり取らないし、お手入れも比較的簡単。良いところをたくさん持っているが、唯一コーヒーを淹れる際に、水を瞬間的に90度のお湯に沸騰させるためのヒーターの動作音がやや大きかったことに困った。夜中に使うのは少し気が引けてしまう。
バリスタiはシンプルさをプライオリティとして追求したコーヒーマシンなので、単体ではあまり複雑なことはできない。でも、他社のスマート家電製品と連携して機能が広がるコーヒーマシンになれるかもしれない。
今年の秋にドイツで開催されたエレクトロニクス家電の展示会「IFA2016」では、ソニーモバイルが開発を進めるパーソナルアシスタントロボットの試作機「Xperia Agent」と連携して、ボイスコマンドで好みの味のコーヒーを淹れてくれるデモンストレーションが披露されていた。バリスタiとXperia Agentを一緒に使っているユーザーどうしなら、コーヒーブレイクの合間にXperia Agentに内蔵するカメラとカラー液晶ディスプレイを使ってビデオコールを楽しみながらお茶が飲める。そんな2つの「ちょっと先の未来のサービス」がプロトタイプとして展示されていた。
単体ではスマートさを発揮しきれていない家電製品が、複数のスマート家電とつながることで「真の実力」を発揮してくれるという1つの好例になるかもしれない。この先のバリスタiの進化にも期待しよう。
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