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「ISO感度」ってなに? とその最適な設定のコツ(2/2 ページ)

» 2017年08月07日 18時58分 公開
[荻窪圭ITmedia]
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 必要に応じてISO感度を上げるのだ。

 でもさっき書いたように「イメージセンサーが受け入れられる光の量」、つまり感度は決まってる。イメージセンサーの感度を勝手に上げたり下げたりはできない。

 その代わり、信号を増幅するという技を使う。

 本来、ISO100であるところをISO1600にしてやると、必要な光の量は1/16になるわけで、その分シャッタースピードを速くできる。

 でもセンサーの感度は変えられないので、センサーに入る光の量は足りなくて出てくる信号も弱い。そこで少ない信号を増幅して増やしてやるのだ。それがISO感度を上げる基本的な仕組み。

 ただ、それをやると暗部のわずかな信号とノイズを一緒に増幅するため、暗いところを中心に画質が落ちる。

 これが「ISO感度を上げるとノイズも増えて画質が落ちる」原因だ。

 面白いのでちょっと実験。

 さっきの露出アンダーだった写真。あれをRAW現像ソフトで適正露出まで引っ張り上げてみる。

RAW現像ソフトで+4の露出補正をかけた

 一見、暗すぎた写真をきれいに救えたけど、良く見るとかなりノイズが乗ってる。

左が適正露出で撮った写真。右が露出アンダーで撮った写真をあとから持ち上げたもの。差が分かりやすいよう、どちらも「ノイズ低減処理はオフ」にして処理した

 ただし、実際のカメラの中ではもっと複雑な処理をしていてノイズもかなり抑えているのでここまでの差は出ない。技術の進化ってすごいのだ。

 さっきの無理矢理明るくした写真と、はじめからISO感度を上げて撮った写真を並べるとこんな感じ。

 右があらかじめISO感度を上げて撮ったもの。

低ISO感度で露出アンダーで撮影してあとから持ち上げた写真(左)と、はじめから高ISO感度で撮った写真(右)。右の方が明らかにノイズは少ない。

 かなり違うのが分かるかと思う。最初からISO感度を上げて撮った方がいいのだ。

ISO感度はどのくらい上げていいの?

 じゃあ、撮る側としては、ISO感度をどのくらいまで上げていいの? となるわけだが、答えは簡単。

 迷ったらISOオートで撮ればOk。身も蓋もないけど。

 ISO感度まで自分でコントロールするのはかなり分かってる人じゃないと難しい。だから「ISOオート」という便利な機能があり、カメラが自動的に「手ブレしない」ように&画質が劣化しすぎないようにコントロールしてくれるのだ。

 基本的には「カメラさん、細かい事はよきにはからってください」である。

 実際に感度をぐいぐい上げたとき、どのくらい画質が低下するかはカメラのイメージセンサーのサイズやそのカメラの画像処理エンジンの能力にかかってくるのでなんともいえないけど、一般にイメージセンサーが大きければ大きい方が高感度に強い。

 ITmediaのカメラレビューはできるだけ高感度時の作例を毎回同じ条件で、比較しやすいよう部分拡大したものを掲載しているので比べてもらえるとよいかと思う。

 自分のカメラはどのくらいISO感度をあげても大丈夫なのか。

 これ、被写体によっても違うし、撮る人がどこまで要求するかも違うので一概にはいえないのですよねえ。

 大きくプリントしたり、4Kディスプレイに全画面で表示するなら画質は維持したいし、人物を撮るときはノイズはない方がいいし、でも手ブレや被写体ブレするくらいなら高感度で撮った方がましだし。

花火はISO感度を抑えてスローシャッターで撮るべし。三脚は必須
でも三脚がなくて望遠で撮りたいときは手ブレしないようISO感度を上げて撮ってもよし

 スポーツや動物を撮るときは感度を上げてでも動きをコントロールして撮りたいし。

魚をくわえたカワセミ。ISO感度を上げてシャッタースピードを維持して撮影

 ただ、ノイズ低減の技術はどんどん上がっていて、数年前のカメラに比べると隔世の感レベルの違いがある。

 イマドキのデジタル一眼クラスなら、画質低下を気にして無理に低い感度で撮るより、ある程度感度を上げてブレを防ぐことを第一に考えるのがよいかと思います。

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