必要に応じてISO感度を上げるのだ。
でもさっき書いたように「イメージセンサーが受け入れられる光の量」、つまり感度は決まってる。イメージセンサーの感度を勝手に上げたり下げたりはできない。
その代わり、信号を増幅するという技を使う。
本来、ISO100であるところをISO1600にしてやると、必要な光の量は1/16になるわけで、その分シャッタースピードを速くできる。
でもセンサーの感度は変えられないので、センサーに入る光の量は足りなくて出てくる信号も弱い。そこで少ない信号を増幅して増やしてやるのだ。それがISO感度を上げる基本的な仕組み。
ただ、それをやると暗部のわずかな信号とノイズを一緒に増幅するため、暗いところを中心に画質が落ちる。
これが「ISO感度を上げるとノイズも増えて画質が落ちる」原因だ。
面白いのでちょっと実験。
さっきの露出アンダーだった写真。あれをRAW現像ソフトで適正露出まで引っ張り上げてみる。
一見、暗すぎた写真をきれいに救えたけど、良く見るとかなりノイズが乗ってる。
ただし、実際のカメラの中ではもっと複雑な処理をしていてノイズもかなり抑えているのでここまでの差は出ない。技術の進化ってすごいのだ。
さっきの無理矢理明るくした写真と、はじめからISO感度を上げて撮った写真を並べるとこんな感じ。
右があらかじめISO感度を上げて撮ったもの。
かなり違うのが分かるかと思う。最初からISO感度を上げて撮った方がいいのだ。
じゃあ、撮る側としては、ISO感度をどのくらいまで上げていいの? となるわけだが、答えは簡単。
迷ったらISOオートで撮ればOk。身も蓋もないけど。
ISO感度まで自分でコントロールするのはかなり分かってる人じゃないと難しい。だから「ISOオート」という便利な機能があり、カメラが自動的に「手ブレしない」ように&画質が劣化しすぎないようにコントロールしてくれるのだ。
基本的には「カメラさん、細かい事はよきにはからってください」である。
実際に感度をぐいぐい上げたとき、どのくらい画質が低下するかはカメラのイメージセンサーのサイズやそのカメラの画像処理エンジンの能力にかかってくるのでなんともいえないけど、一般にイメージセンサーが大きければ大きい方が高感度に強い。
ITmediaのカメラレビューはできるだけ高感度時の作例を毎回同じ条件で、比較しやすいよう部分拡大したものを掲載しているので比べてもらえるとよいかと思う。
自分のカメラはどのくらいISO感度をあげても大丈夫なのか。
これ、被写体によっても違うし、撮る人がどこまで要求するかも違うので一概にはいえないのですよねえ。
大きくプリントしたり、4Kディスプレイに全画面で表示するなら画質は維持したいし、人物を撮るときはノイズはない方がいいし、でも手ブレや被写体ブレするくらいなら高感度で撮った方がましだし。
スポーツや動物を撮るときは感度を上げてでも動きをコントロールして撮りたいし。
ただ、ノイズ低減の技術はどんどん上がっていて、数年前のカメラに比べると隔世の感レベルの違いがある。
イマドキのデジタル一眼クラスなら、画質低下を気にして無理に低い感度で撮るより、ある程度感度を上げてブレを防ぐことを第一に考えるのがよいかと思います。
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