東京メトロ千代田線の沿線と神奈川県北部を結ぶ路線の輸送量を上げる構想だ。18号答申では、小田急小田原線の喜多見−東北沢間の複々線化と、多摩線の延伸について記述されている。ここでは2015年度までに整備されるべきとされた複々線区間を取り上げよう。
18号答申による複々線化の提言は東北沢−喜多見間と和泉多摩川−新百合ヶ丘間である。しかし、小田急ならびに東京都の都市計画はその範囲を拡大し、東北沢−和泉多摩川間の10.4キロメートルも対象とした。
東北沢−梅ヶ丘間は地下化による立体交差、梅ヶ丘−和泉多摩川間は高架化による立体交差を採用。また、代々木上原−東北沢間も複々線化し、和泉多摩川−向ヶ丘遊園間も上り2線、下り1線へと改良工事が進められている。高架立体交差区間は周辺住民による訴訟問題によって工事が遅れたものの、2004年に開通した。18号答申が示した区間のうち、残るは東北沢−梅ヶ丘間と和泉多摩川−新百合ヶ丘間となった。
東北沢−梅ヶ丘間の工事は2004年の9月に始まった。完成予定は2013年だという。この工事が完成した場合、列車の増発とスピードアップによって、現在の朝ラッシュ時の混雑率は188%から160%台へ下げられる。複々線化工事着工前は208%だったから、かなり緩和されることになる。向ヶ丘遊園駅から新宿駅への急行電車の所要時間は、現在の25分から21分になる。これも着工前の33分から12分も短縮されたことになる。
和泉多摩川−新百合ヶ丘間については具体的な動きはない。2005年10月の報道によれば、小田急は新百合ヶ丘駅までの複々線化を検討しているという。新たな動きは川崎縦貫高速鉄道(仮称)の動きにも左右されるだろう。川崎縦貫高速鉄道は2017年に先行開業区間が新百合ヶ丘駅に接続し、小田急多摩線に乗り入れを希望している。これは新百合ヶ丘駅の改造に関わる問題だ。しかし、具体的な動きがあるとしても、東北沢−梅ヶ丘間の完成以降になると思われる。
→どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(3)東京エリア編その2
→どうなる、こうなる首都圏の鉄道網――(最終回)成田新線・新交通編
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