KDDIのJava……というと、何を思い浮かべるだろう? 派手なiアプリや、ゲームが豊富なVアプリなどと比べると知名度が低いのは事実。さらにKDDI自身が、「今後、基本的にはBREW1本でやっていきたい」(高橋誠執行役員、2003年7月の記事参照)と言うように、Javaは“消えゆくもの”として冷遇されているかにも見える。
しかし、その陰でKDDIのJavaは着々と進化を続けてきた。最新端末の「A5403CA」「W11K」「W11H」では、Java仕様の4世代目に当たるPhase3にバージョンアップを果たした。
ドコモの「iアプリ」、ボーダフォンの「Vアプリ」(当時はJ-フォンのJavaアプリ)に続き、KDDIが「ezplus」という名称でJavaサービスを発表したのは2001年の6月(2001年6月の記事参照)。
当初の仕様は「Phase1」と呼ばれ、国際標準のMIDP1.0(用語)をベースに、KDDIプロファイルの追加によって機能を拡張。アプリ容量も、他社よりも一回り多い50Kバイトとすることで、「ドコモのコンテンツに対抗していこう」(KDDIプロダクト統括部アプリケーショングループの林一路氏)という方針だった。
しかしHTTP通信ができないという弱点も抱えていた(2001年9月の記事参照)。それを改善したのが、2001年12月の「Phase2」だ。メインストリームの端末にもJavaを搭載し、一気に対応端末数を増やしたのもこの時期。
続いて、「ゲーム、という要望が多い」(林氏)ことから、サウンド系の強化を行ったのが「Phase2.5」。2002年9月のことだ。「A3015SA」「A5301T」「A5302CA」という、カメラ付きのハイエンド端末に搭載した。具体的には、(1)BGMに加え効果音を鳴らせる (2)待ち受けアプリに対応 といった強化をしている。
Phase | 強化点 | 主な対応端末 |
---|---|---|
Phase1 | 50Kバイト業界最大容量 | C451H、C452CA |
Phase2 | HTTP通信を可能に | C5001T、C3001H |
Phase2.5 | サウンド系の強化 | A3015SA、A5301T、A5302CA |
Phase3 | パフォーマンス改善、サイズ拡大、ネイティブとの連携機能 | A5403CA、W11H、W11K |
そして2003年11月に、パケット定額制の「CDMA 1X WIN」端末のアプリ仕様として搭載されたのが、「Phase3」である。
これまでKDDIのJava仕様として言われていたのが「サイズが小さい、パフォーマンスがよくない」(林氏)ということ。当初は業界最大だったアプリサイズだが、ドコモとボーダフォンが順次サイズを拡大(ドコモ:500Kバイト、ボーダフォン:256Kバイト)するなか、見劣りするものになってきていた。パフォーマンスも、au端末が採用するCPUが他社と比較して低速なため、苦戦を強いられていた。
これらを払拭すべく、Phase3では以下の改善が行われた。
パフォーマンスについては「これまで重かった3Dコンテンツが、ずいぶんサクサク動く」(林氏)。これは主にCPUのパワーアップによるものだ。「(Phase3は)SH-Mobile相当の性能がないと無理」と林氏が言うように、高速なアプリ用CPUを搭載することを前提とした仕様になっている。実際、A5403CA、W11H、W11KにはSH-Mobileが搭載されている。
表現力の向上としては、アプリ150Kバイト+データストレージ210Kバイトと、まずサイズを大幅アップ。さらに、
といった機能強化がなされた。
「ゲームの表現力向上が目的。ドコモやボーダフォンに水を空けられていた部分は、追いついた」(林氏)
また、カメラの起動や撮影などカメラ連携機能、アドレス帳との連携機能も強化された。「アドレス帳の情報を(ezplusで)全部吸い出してアップロードして、機種変更時に書き戻すことも可能」と林氏。KDDIが29日に発表した「EZメモリーポケット」の拡張もPhase3の機能を利用している(1月29日の記事参照)。
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