KDDI Javaの「一つのゴール」〜Phase3とは何か(1/2 ページ)

» 2004年01月30日 21時36分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 KDDIのJava……というと、何を思い浮かべるだろう? 派手なiアプリや、ゲームが豊富なVアプリなどと比べると知名度が低いのは事実。さらにKDDI自身が、「今後、基本的にはBREW1本でやっていきたい」(高橋誠執行役員、2003年7月の記事参照)と言うように、Javaは“消えゆくもの”として冷遇されているかにも見える。

 しかし、その陰でKDDIのJavaは着々と進化を続けてきた。最新端末の「A5403CA」「W11K」「W11H」では、Java仕様の4世代目に当たるPhase3にバージョンアップを果たした。

Phase1からPhase3へ〜2年半を振りかえる

 ドコモの「iアプリ」、ボーダフォンの「Vアプリ」(当時はJ-フォンのJavaアプリ)に続き、KDDIが「ezplus」という名称でJavaサービスを発表したのは2001年の6月(2001年6月の記事参照)。

 当初の仕様は「Phase1」と呼ばれ、国際標準のMIDP1.0(用語)をベースに、KDDIプロファイルの追加によって機能を拡張。アプリ容量も、他社よりも一回り多い50Kバイトとすることで、「ドコモのコンテンツに対抗していこう」(KDDIプロダクト統括部アプリケーショングループの林一路氏)という方針だった。

 しかしHTTP通信ができないという弱点も抱えていた(2001年9月の記事参照)。それを改善したのが、2001年12月の「Phase2」だ。メインストリームの端末にもJavaを搭載し、一気に対応端末数を増やしたのもこの時期。

 続いて、「ゲーム、という要望が多い」(林氏)ことから、サウンド系の強化を行ったのが「Phase2.5」。2002年9月のことだ。「A3015SA」「A5301T」「A5302CA」という、カメラ付きのハイエンド端末に搭載した。具体的には、(1)BGMに加え効果音を鳴らせる (2)待ち受けアプリに対応 といった強化をしている。

Phase 強化点 主な対応端末
Phase1 50Kバイト業界最大容量 C451H、C452CA
Phase2 HTTP通信を可能に C5001T、C3001H
Phase2.5 サウンド系の強化 A3015SA、A5301T、A5302CA
Phase3 パフォーマンス改善、サイズ拡大、ネイティブとの連携機能 A5403CA、W11H、W11K

KDDI Javaの“ひとつのゴール”──Phase3

 そして2003年11月に、パケット定額制の「CDMA 1X WIN」端末のアプリ仕様として搭載されたのが、「Phase3」である。

 これまでKDDIのJava仕様として言われていたのが「サイズが小さい、パフォーマンスがよくない」(林氏)ということ。当初は業界最大だったアプリサイズだが、ドコモとボーダフォンが順次サイズを拡大(ドコモ:500Kバイト、ボーダフォン:256Kバイト)するなか、見劣りするものになってきていた。パフォーマンスも、au端末が採用するCPUが他社と比較して低速なため、苦戦を強いられていた。

 これらを払拭すべく、Phase3では以下の改善が行われた。

  • パフォーマンス改善
  • サイズアップによる表現力向上
  • 端末ネイティブ機能との連携強化

 パフォーマンスについては「これまで重かった3Dコンテンツが、ずいぶんサクサク動く」(林氏)。これは主にCPUのパワーアップによるものだ。「(Phase3は)SH-Mobile相当の性能がないと無理」と林氏が言うように、高速なアプリ用CPUを搭載することを前提とした仕様になっている。実際、A5403CA、W11H、W11KにはSH-Mobileが搭載されている。

 表現力の向上としては、アプリ150Kバイト+データストレージ210Kバイトと、まずサイズを大幅アップ。さらに、

  • 2Dスプライト
  • 3Dポリゴンエンジン(エイチアイ製Ver.3)
  • ヒューマンボイス(チップ依存。A5403CA対応)
  • QVGA対応(「事実上、Phase3から」(林氏))

 といった機能強化がなされた。

 「ゲームの表現力向上が目的。ドコモやボーダフォンに水を空けられていた部分は、追いついた」(林氏)

 また、カメラの起動や撮影などカメラ連携機能、アドレス帳との連携機能も強化された。「アドレス帳の情報を(ezplusで)全部吸い出してアップロードして、機種変更時に書き戻すことも可能」と林氏。KDDIが29日に発表した「EZメモリーポケット」の拡張もPhase3の機能を利用している(1月29日の記事参照)。

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