“聴く”から“作る”へ──ヤマハの着メロ戦略

» 2004年02月20日 17時19分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 携帯の人気コンテンツとして真っ先に挙げられるのが“着メロ”。「着うた」の登場で押され気味な感もあるが、対応機種の数から見れば、まだ着メロのほうが主流といえるだろう。

 その着メロ市場も立ち上がってはや4年。サイトの増加に伴って競争が激化、どのようにサイトを差別化してユーザーを取り込むかがコンテンツプロバイダの課題になっている(2003年6月の記事参照)。

 Java Technology Conference 2004の講演でヤマハのコンテンツ事業推進部 システム技術グループの山浦淳課長代理が、同社の着メロ会員獲得戦略と今後の方針について話した。

「メロっちゃ!」を軸に、アプリで自社サイトを連携

 サービスイン当初の着メロサイトは「総合着メロサイト」が主流。ユーザーニーズの多様化に伴って専門サイト化が進み、その後低価格競争時代に突入した。

 ヤマハも2002年1月までは会員数が急ピッチで伸びたが、その後停滞。専門サイトを立ち上げたり課金コースを増やすなどして対応し、16ブランド、44の課金コースをそろえた。

 そんな中、ここ半年で面白い動きがあったと山浦氏。「新しいコースを立ち上げることをしないのに会員数がかなり増えた」。ここで鍵になったのが着メロ試聴アプリだ。

 着メロ試聴アプリは、購入する前にどんな曲かを聞けることから人気が高いという(2003年1月の記事参照)。最初に登場したのは503iシリーズ対応のアプリで、アプリを起動させるとオススメ曲がリストアップされ、試聴できるものだった。504iでアプリ容量が拡張されると、アプリから検索できる機能や、iモードサイトで試聴を選ぶと試聴アプリが起動するような機能が追加された。

 さらに容量が拡張された505iシリーズでは、統合検索機能を搭載。主力の「メロっちゃ!」サイト内だけでなく、ヤマハが提供するほかのブランドの曲も調べて試聴できるようになった。iモードサイトと試聴アプリのシームレスな連携や、ヤマハが提供する全ブランドの曲を検索できる仕組みといったユーザーインタフェースの工夫が会員数を伸ばしたというわけだ。「ヤマハの中で一番会員数が多い『メロっちゃ!』から専門サイトの曲も検索できれば、それが誘導する導線になる」

 また試聴アプリに用意したお勧めコーナーもコンテンツの拡販に役立っているという。「たくさんダウンロードされるのは新着のごく一部で、埋もれているものはなかなか日の目を見ない。ただこの中に面白い曲があるのも事実」。レアな曲を試聴アプリで楽しんでもらい、それをダウンロードにつなげたい考えだ。

 ただし、試聴アプリもいいことばかりではないと山浦氏。最近では使うためではなく“聞くため”に着メロをダウンロードする人も多く(2002年1月の記事参照)、そうしたユーザーは、試聴さえできればいいのでダウンロードしてくれない。「試聴アプリは従量課金制の着メロサイトでやると失敗する」

 ヤマハは着メロサイトだけでなく、カラオケサイトとの連携も図っている。「メロっちゃ!のダウンロード画面からカラオケを使えるようにしたら、この3カ月で会員数が70%増えた」というように、もともとそれほど大きくなかったカラオケ市場でも大幅な会員増を果たした。

“聴く”から“作る”へ

 ヤマハが次の着メロ戦略として考えているのは、コンテンツの作成、加工、転送、再利用ができるようなプラットフォーム作り。これまでの“ダウンロードして聴く”から、“加工して、自分なりのものを作る”方向に持っていく計画だ。「そのために、エディタAPIを作って、SMAFの編集や作成ができるような形を考えている」

 こうした仕組みが実現すると、ヤマハが本業の楽器作りのノウハウを生かして提供している楽器アプリ(2002年10月の記事参照)に新しい可能性が生まれるという。「アプリにシーケンサーやサンプラーなどの機能を加えられる。サーバアプリとの通信を使えば今でも可能だが、Javaの中で完結した形でユーザーに楽しんでもらいたい」。ほかにも自分で加工したSMAFを、待ち受け画面や名刺、グリーティングカードに使うといった提案もしていきたいと話す。

 今後ヤマハでは、クリエイターやタイアップ企業、400万人いるヤマハサイトのユーザーをつなぐコミュニティを作っていけるツールとしてのJavaアプリを提供していきたい考えだ。

 また既にある着メロ資産を携帯以外のプラットフォームで生かすことも検討中。「着メロが与えた影響は大きく携帯だけに留まらない。Javaテクノロジーが今までとは違うプラットフォームでメロディコンテンツと結合して、新しい市場を開拓していくことを期待している」。

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