作品名 | 花とアリス |
監督 | 岩井俊二 |
制作年・製作国 | 2004年日本作品 |
仲良く同じ高校に入学した、幼なじみのハナ(荒井花)とアリス(有栖川徹子)。憧れの宮本先輩を追いかけて、ハナは落語同好会に入ることにしました。通学電車の中で見つめるだけだった宮本先輩と言葉を交わすことができるようになり、ハナの高校生活は順調にスタートしました。アリスはハナの恋を応援していましたが、以前より二人でいる時間が少なくなったことを寂しく思っていました。
そんなある日、宮本先輩と一緒に学校から帰る途中で、ハナは思わぬ事件に遭遇します。二度とないチャンスの到来にハナは、宮本先輩にあるウソをついてしまいます。ハナのウソを信じ込んでしまった宮本先輩は、その日からハナとつきあうことになったのでした。夢がかなって宮本先輩とデートにでかけるハナ。そこへアリスから携帯に電話がかかってきます。
「もしもし、ハナ? 聞いてよー、私スカウトされました!」
一人で街を歩いていて、アリスはモデルにスカウトされたのでした。
「スカウト?」
「一度、事務所に来てほしいって」
興奮しているアリスはさらに続けます。
「駅わかる? 原宿駅。今から来て」
宮本先輩とのデートを邪魔されたハナはイライラ。突然の呼び出しに応じられるわけがありません。
「君ってそういうとこ、本当に勝手じゃん」
あしらうように電話を切ってしまいます。嬉しいことを真っ先に伝えたかっただけなのに、冷たくされてアリスはがっかりします。高校に入るまではとても仲がよかったのに、宮本先輩が現れてから、ハナとアリスの関係はギクシャクしてきてしまいました。
ハナは宮本先輩とデートを重ね、家にも招く仲になっていました。幸せいっぱいのアリスを突然、奈落の底に突き落としたのは、携帯にかかってきた宮本先輩からの電話でした。
「ちょっと話があるんだけど」
ウキウキしているハナとは対照的に、沈んでいる宮本先輩の声。
「あのさ、パソコン持ってたよね」
「持ってますよ」
「パソコンを開いて、コマンド押してみて」
宮本先輩に言われるまま、キーボードを叩くとそこにはハナが隠し撮りしていた宮本先輩の写真が。
「その写真、何?」
この写真はハナのパソコンの調子が悪くなり、宮本先輩を部屋に入れて直してもらった時に見られてしまったのです。宮本先輩は、その時は驚きながらも気付かないふりをしたのですが、じっくり考えて、つきあっているのに遠くから隠し撮りした写真を持っているのはおかしいと思ったのでした。
「君、誰?」
ハナは自分のウソがバレてしまいそうになり、しどろもどろ。
「人のパソコン、勝手にいじって、私のこと全然信じてなかったんですね」
「ごめん」
逆ギレしたハナにひるんだ宮本先輩に、さらにウソを重ねてしまいます。ハナは自分の行動を、すべてアリスのせいにしてしまったのです。こうして、知らないうちにハナの共犯者になったアリス。
好きだからこそついてしまったウソが、春の嵐を巻き起こしていきます。ハナとアリスと宮本先輩の奇妙な三角関係、一途な恋の行方はどうなってしまうのでしょうか……? スクリーンの中の桜吹雪がとても美しく、恋に揺れる女の子の表情が可憐な青春映画。ちなみにハナとアリスの携帯電話も桜色です。
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