海外でケータイを買ってみよう(基礎知識編)夏休み企画(2/2 ページ)

» 2004年08月05日 12時55分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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 GSM方式の一番の特徴は、通信キャリアとの契約と、携帯端末そのものが完全に分離されていること。契約はSIMカード(用語参照)単位で行い、このSIMカードを自分のGSM端末に装着することで利用できるようになる。なお、日本のFOMAやボーダフォンVGS端末で採用されているUSIMカード(UIMカード:用語参照)はGSM方式のSIMカードの上位規格であるため、SIMカードとは下位互換性がある。

 このため、GSM方式の端末はメーカーブランドで販売されることが多く、通信キャリアが自社ブランドの専用端末を発売するケースは少ない。たとえば英Vodafoneが販売している端末は、NokiaやSonyEricssonの端末に自社のロゴを入れ、Vodafone Live!の設定をして売っている、という具合だ。まったく同じ端末が、同じ英国の通信キャリアであるOrangeで売られていたり(こちらはOrangeのロゴが入っている)、家電店で通信キャリアのロゴのない「素」のままの状態で売られていることもある。

 「VodafoneのSIMカードを、一般家電店で別に買ってきたNokia端末に挿して使う」「中国移動のSIMカードを、中国移動のキャリアショップで買ったMotorolaの携帯に挿入して使う」といったように、SIMカードと携帯端末の組み合わせは基本的に自由自在である。

「SIMロック」に注意

 ところが、一部の国では端末に特定のSIMカードのみ使えるよう「SIMロック」というものをかけた状態で販売していることがある。この点は注意が必要だ。

 日本では通信キャリアが端末を販売するため、ユーザーが自社回線を利用することを前提にあらかじめ販売奨励金分を値引きしている。そのため、最新の高機能端末が3万円前後といった割安な価格で販売されている。いわゆる「インセンティブモデル」といわれる仕組みだ。

 一方のGSM方式では、前述のとおり契約と端末が完全分離している。そのた、端末の値段は本来の定価となり、モノクロのローエンド端末でも1万円以上、普及機で3〜4万円、ハイエンドになると6万円とか8万円にもなるのが一般的だ。

 そこで一部の事業者は、自社で販売した端末には、自社のSIMカードのみが使えるように端末にロックをかけ、端末を安価に割引販売する方法を採用していることもある。これが「SIMロック」だ。たとえば、ボーダフォンがオンライン販売したMotorola製「V66」などがそうだった(2002年12月16日の記事参照)。これにより、たとえば最新機種を定価の半額や無料で購入することができる。

実際に買うのならばどちらがいい?

 一般的にヨーロッパや北米では、事業者が端末にSIMロックをかけたうえで自社のSIMカードと端末をセット販売し、端末を安価にしていることが多い。一方アジアでは、事業者は端末にSIMロックはかけず、SIMカードと端末販売を完全に分離していることが多い。アジアの事業者のその分、通信費を非常に安くしている。

 値段だけ考えれば、SIMロック付きの端末を買うほうがコストは安く感じる。しかしいろいろな国を渡航し、各国で現地のSIMカードを使いたいと考えるのであれば、SIMロックのない端末を買ったほうが使い勝手は良いといえるだろう。


 最近は日本でも中国への関心が高まっている。この夏、渡航を考えている人は多いだろう。中でも香港は、外国人でもGSM携帯やプリペイドのSIMカードをも気軽に買いやすい。次回は、実際に香港で海外GSM携帯(端末、プリペイドSIMカード)の買い方を取り上げてみよう。

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