スクエニが語る、ドラクエ・FFの携帯移植「苦労話」

» 2004年09月07日 18時36分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 FOMA 900iのキラーコンテンツとして、話題を集めた携帯アプリ版「ドラゴンクエスト」および「ファイナルファンタジー」(2003年9月25日の記事参照)。ユーザーの反応も上々だったようだが、配信にこぎつけるには苦労も多かったようだ。

 9月7日の「CEDEC 2004」会場では、スクウェア・エニックスのモバイル事業部部長、洞正浩氏が講演に登場。移植でどのような点に気をつかったか紹介した。

photo (C)1987,2004 SQUARE ENIX CO.,LTD.All Rights Reserved.

ドラクエはより「簡単」に〜多くのカスタマイズ

 ファミコンのゲームタイトルを、携帯向けにカスタマイズする。これは想像以上に手間のかかる行為だった。「たとえば、携帯の画面は縦長。しかし従来のものは(テレビ画面を想定して)横長に作ってあるので、レイアウトを作り直す必要があった」(同氏)。

 文字表示では、入るはずの文字数が入らなかったりと意外に労力をとられる。マップでも、縦長表示では主人公の立ち位置から“上下左右(東西南北)がどれだけ見渡せるか”が変わってくるという。

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 「1つの画面内に出ているマップ情報で、動かないと見えないはずのもの(街や洞窟など)が見えたりする」。この点を、調整する必要があったという。

 ゲームバランスにも、手を加えた。携帯ゲームは手軽に遊べるべきとの発想から、たとえばドラゴンクエストはファミコン版よりも「簡単」になるよう手を加えているという。

 「堀井さん(堀井雄二氏)と密なやりとりをして、レベルが上がりやすいようにしてある。ドラクエは、かなりライトなゲームに仕上がった」

photo (C)1986-2004 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

 ちなみに、ファイナルファンタジーの方は「コアなファンがいる。難易度をいじるのはどうか」との判断からゲームバランスに手を加えなかった。もっとも、ユーザーが迷わずに済むよう、次に何をすべきかメッセージを加えるなどの修正はしたという。

容量の制限に苦しめられる

 洞氏はまた、携帯アプリ開発特有の問題として、ハードウェア性能の制限にも苦しめられたと話す。

 「描画が一番重く、カスタマイズしても速くならない。当初、ハードのスペック見積もりをもらっていたのだが、『全然違うじゃないか』ということもあった」

 Javaのプラットフォームにも、不満がないとはいえなかったようだ。「アプリが止まった時に、ライブラリがバグっているのか、アプリに問題があるのか問題の切り分けができない。開発側としては、『ライブラリのせいだ』といって万一問題が自分の側にあったら……と考えるので、トラブルを抱え込んでしまって作業が進まない」。

 ヒープメモリの制限との戦いも「長かった」(同氏)。さらに、苦労して仕上げても違う機種だと全然動かないなど、トラブルは続いたという。

「魂入れ」が必要――納期との戦い

 こうした苦難を乗り越えて、「ようやくゲームがひととおり動くようになると、納期がギリギリ」(同氏)という状況だった。既に開発陣も疲弊しており、「もう早く終わらそうよ」という空気が流れ始める。

 しかし、ここでもうひと頑張りして「最初は見えていなかったが、この部分をこうすればもっと良くなる」というプランナーのわがままを、どれだけ聞けるか。それでいてミスをせず、バグを出さないようにできるか。そこが、ゲームの仕上がりに非常に重要なのだという。

 「これを、ゲームの『魂入れ』と呼んでいる。これ(改善のための最後の粘り)を、今回はメーカーともキャリアともやった」。すべてはユーザーのためと、キャリアやメーカーと熱い議論を交わしたという。

 こうした苦労の甲斐もあって、ドラクエとFFのアプリは当初の予想以上のユーザーアクセスを集めた。予想を上回り過ぎたため、「サービスイン時にはサーバが落ちてしまったほど。ご迷惑をおかけしてしまった」。とはいえ、担当者が「次々と倒れた」(同氏)ほどの苦労は、一定の結果を出したといえるだろう。

サーバとは、いまなお格闘中?

 洞氏は、話がサーバにおよぶと「この話題はできればしたくない」と苦笑する。スクウェア・エニックスは常に前例のない取り組みをすることもあり、「(どれほどサーバを増強すべきか)想定できないことがある」という。

 同氏は、同じ携帯アプリである「BEFORE CRISIS -FINAL FANTASY VII-」が通信しにくい状態になったことにも言及(9月3日の記事参照)。「FF、ドラクエで携帯アプリ史上例を見ないアクセスを集めた。そのアクセスに耐えていたサーバが、“瞬殺”された」と話す。

 「BEFORE CRISISはβサービス開始後、初日に160万のアクセスがあった。そこまでは、読みきれない」。本サービス開始までには、状況を改善すると強調した。

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