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» 2004年11月11日 10時01分 公開

ソフトバンクは携帯事業で何を目指す?(1/2 ページ)

「2番というのは敗北だ。いつか1番を賭けて勝負をする」──携帯電話事業へ賭ける孫社長の意気込みは熱い。しかしソフトバンクは具体的に、どのような携帯事業を展開するつもりなのだろうか?

[吉岡綾乃,ITmedia]

 ソフトバンクが携帯電話事業へ強い意志を見せており、とくに800MHz帯の再割り当てを熱望していることは既報の通りだ(11月8日の記事11月4日の記事参照)。

 11月10日に開かれた中間決算報告で、「800MHz帯が割り当てられなかった場合でも、ソフトバンクは携帯事業に参入するのか」という問いに対し、孫社長は「800MHzがもらえない、などという事態は考えたくもない。そんなことは認めたくない」と強い口調で答えた。

 携帯事業の目標については「5年程度の中長期スパンで、KDDI、ボーダフォンクラスになりたい。1000万加入者規模の事業者だ」とコメント。「しかし2番というのは敗北だ。私の人生のなかで2番は受け入れられない。いつか1番を賭けて勝負をする」と続け、いずれドコモも加入者数で抜く意気込みであることを匂わせた。

 しかし改めて考えてみると、なぜソフトバンクは携帯電話事業に参入したいのだろう。そして具体的には、どのようなサービスを考えているのだろうか?

携帯電話料金でも価格破壊を目指す

 かつてYahoo!BBが、圧倒的に安い価格でADSLサービスに参入して価格破壊を起こしたように、ソフトバンクは携帯電話も安く提供しようと考えているのだろうか。「ソフトバンクは携帯事業でも、圧倒的に安いサービスを提供するのか」という問いに対し、孫社長はうなずいて、短く「はい」と答えた。

 以下、ソフトバンクBBが作成した「携帯電話用周波数の利用拡大に関する検討会資料」という資料から、ソフトバンクがどのような携帯事業者を目指しているのかを探ってみよう。

 ユーザー一人あたりの収益平均を示すARPUを比較すると、日本は1008ドル。フランス238ドル、韓国372ドル、米国595ドルなどに比べると高い(数値は2001年)。ソフトバンクの狙いは、携帯電話事業に参入して競争を起こし、これを他国と同レベルにすることにある。

 ただしARPUを使って料金水準を比較することには、異論を唱える人も多い。「ユーザーが携帯電話を使用すればするほどその値は高くなるものなので、少なくとも料金水準を比較する場合には不適当な指標」と総務省はコメントしている。また、ARPUは“月間売上高÷加入契約数”で、契約数の中にはプリペイド携帯も含まれる。プリペイド携帯の比率が低い国(日本など)と、高い国を一緒に比べるのはおかしい、という批判もある。

 端末は、FDD(Frequency Division Duplex)技術を用いたCDMAで、800MHzと1.7GHzの帯域を利用した、無線LANとのハイブリッド3G端末になるという。FDD方式のCDMA端末ということは、ソフトバンクはW-CDMA(ドコモが採用)またはCDMA2000(auが採用)規格を使ってサービスを提供する予定ということになる。

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