韓国は、デジタルオーディオプレーヤー発祥の地といえる。韓国メーカーは当初からプレーヤー製造に積極的で、韓国のMP3プレーヤー普及率は日本以上。市場規模は2000年の210万台から、2003年には750万台までに拡大し、年平均53%の急成長を見せている。
このMP3市場に、最近加わったのがMP3が再生できる電話、“MP3フォン”だ。今春に登場して以来またたく間に人気が広まり、その勢いは今でも衰えることを知らない。しかしその急激な普及の裏では、著作権に関する訴訟なども発生している。内情を見てみよう。
韓国で最初に登場したMP3フォンは、今年3月にLG(CYON)から発売された「LG-LP3000」だ。60.5Mバイトのメモリを搭載しており、130万画素カメラで最大2000枚まで撮影可能な点や、最大80分の連続動画撮影が可能な点も魅力。大きな話題を呼び、発売から約1カ月でなんと7万台という販売実績を樹立した。人口約4000万人と、日本より市場の小さな韓国では、異例の大ヒットだ。
この後各社から発売されたMP3フォンはおおかた、LG-LP3000を踏襲する形となっている。MP3や写真・動画ファイルが保存できる大容量の内蔵メモリ、PCとつなぐためのUSBケーブル、64和音、そしてステレオスピーカーまたはヘッドフォン付きというのが現在のスタンダードだ。
同じくMP3再生機能をウリにしているSamsung(Anycall)の「SPH-E3900」も例外ではない。デュアルスピーカを採用し、本体だけでMP3を楽しめるほか、64Mバイトの内蔵メモリに32Mバイトの外部メモリまで付いている。また、auのカシオ製端末がベースとなっているLG Telecom向け端末「CANU」シリーズの「HS7000」も、MP3再生機能が内蔵されてしっかり“MP3フォン”化している。
それまで韓国の携帯電話の目玉機能といえば、日本と同様「カメラ」だった。しかし、新機種ではカメラにプラスしてMP3も聴けるとあって、50〜60万ウォン(*5〜6万円)という高価格にも関わらず、マルチメディアに関心の高い若者を中心に売れている。韓国の電車に乗ると、首から小さなMP3プレーヤーをぶら下げた若者を多く見かけるが、MP3プレーヤーの代わりに携帯電話で音楽を聴く人の姿も少しずつ増えてきている。
人気を集め、定着しつつあるMP3フォンだが、実は大きな問題を抱えている。音楽配信につきものの、著作権の問題だ。
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