もしかして今までで一番デジカメらしい携帯かもしれない──。そう思わせてくれるのがカシオ計算機製の「W21CA」(12月13日の記事参照)。カシオは以前から200万画素以上のCCDを備えた端末を投入してきたが、そのデジカメ志向、“ここに極まれり”といった印象だ。
240×400ピクセルのワイド液晶のおかげで「全面液晶ディスプレイ」という感じが楽しい。これはワイドモードで撮った写真を再生している画面。この状態では横向きがデフォルトになる |
カシオのカメラ付き携帯は一時、320万画素CCDまでいったが(6月14日の記事参照)、個人的にはオーバースペック過ぎたと思う。300万画素にふさわしい画質を得るにはそれなりのレンズも処理速度も必要で、コストやサイズに制限があるケータイには荷が重いのだ。
W21CA(10月13日の記事参照)が搭載するのは1/2.7インチサイズの200万画素CCD。これはカード型デジカメが採用するものと同サイズで、かなり期待できる。もちろんオートフォーカス機構(AF)付きだ。AFの速度は携帯としてはかなり高速。ストレスもさほどたまらない。初期の200万画素CCD搭載端末に比べるとかなりの進歩だ。
さらにフル解像度のUXGA(1600×1200ピクセル)で撮影した画像も、SXGA、VGA、QVGAなどに変換できるのが便利である。
撮影モードはケータイモードとPCモードの2種類に分かれ、ケータイモードは壁紙サイズ(QVGAや240×400ピクセル)以下、PCモードはVGA以上となっている。まずどちらにするか選んでから、画像サイズや画質を決定する仕組み。ディスプレイは240×400ピクセルで2.6インチ、縦横比16対9のワイド液晶だ。
通常の4対3比率の撮影では使わないエリアに各種情報表示や操作ガイドが表示され、ワイドモードではワイド画面のフルスクリーンで撮影できる。ワイド解像度は壁紙モードのワイドと、1600×960ピクセルの2種類だけ用意されている。どちらも上下をトリミングして16対9にしたものだ。どの画像サイズでも簡単にノーマルとワイドを切り替えられたら面白かったと思う。
撮影は端末を普通に開いた状態の折りたたみ携帯スタイルと、ディスプレイ部をひっくり返したデジカメスタイルの両方で行える。いずれもPCモードでは横長で記録される。
デジカメスタイルにして端末を持つと、上に5つのボタンが並び、一番右がヨコ撮り用のシャッター。半押し機能を備え、これで半押ししてから撮る。押したときの感触はなかなかいい。
カメラ時はシャッター以外の4つのボタンで細かい操作を行う。決定キーはメニュー表示兼決定、さらにはシャッターボタンとしても働く。シャッター時は半押しはなく、一度押すとAFが働いてシャッターが切れる。端末を開いたときの決定キーと同じ仕様だ。
端末を開いているときは、多くのショートカットキーがあり、目的のモードに一発でセットできたりするが、ヨコ撮り時はメニューを介する必要がある。でも全機能にアクセスすることはできるし、操作の反応も悪くないのであまり不便には感じないだろう。
撮影すると瞬時にその後の処理の画面になる。そこでメニューを出してメール送信やGPS情報付加などの処理をしてもいいし、シャッターボタンを押して保存してもいい。保存にかかる時間は約4秒だ。使っていて遅さにいらだつことはそれほどない。
撮影機能は比較的豊富で、トワイライトや食べ物、人物、風景などが揃った9種類の「ベストショットモード」のほか、「明るさ」「シャープネス」「コントラスト」「彩度」の調整、4種類の「マニュアルホワイトバランス」などが用意されている。
オートフォーカスのオン/オフもできる。オフにするとパンフォーカスになってAF時間を節約できるので、1メートル以上遠い被写体を撮るならオフにしてもいい。
快適なのは、メニュー操作時の反応がいいことと、シャッターがデジカメっぽいこと。画面も広くて撮りやすい。これで高画質なら、久々にデジカメ的に使える端末の登場ということになる。
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