現在携帯用燃料電池(DMFC)の課題はどこにあるのだろうか。
まずコストは、「見積もりをするとそんなに高くない。リチウムイオンと戦っていけるだろう」(NECの久保氏)と現状でも目処がついている。
電解質膜が1円/cm2、触媒電極に使うカーボンナノホーンが500円/グラムで1ミリグラム/cm2、触媒となる白金が2000円/グラムで0.5ミリグラム/cm2。合計すると、約4円/cm2となる。携帯電話用なら10cm2で約40円、ノートPC向けなら200cm2で約800円という計算だ。
ランニングコストも、メタノールは1リットル当たり40〜50円の安い。携帯用(10cc)で0.4〜0.5円、PC用(200cc)で8〜10円だとNECの久保氏。
耐久性も「自動車や家庭用に比べるとかなり楽」だとNECの久保氏は話す。10年程度の耐久性が求められる自動車や家庭用に比べ、当面は1〜2年の保証でかまわない。携帯向けは耐久性向上よりも初期特性向上を目指すべきだとし、「5000〜1万時間が目安」だと話した。
規制緩和のキモだった航空機内への持ち込みも目処がついている(12月2日の記事参照)。毒性もエタノール──いわゆるお酒と大きくは違わない。
燃料 | メタノール | エタノール | ブタンガス | 水素 |
---|---|---|---|---|
沸点 | 65度 | 79度 | 0.5度 | -253度 |
可燃性 | 高い | 高い | 非常に高い | 極めて高い |
爆発限界(Vol%) | 6-35.6 | 3.3-19 | 1.8-8.4 | 4-76 |
空気中許容濃度 | 200ppm | 1000ppm | 800ppm | − |
残る課題は2つ。出力密度向上とエネルギー密度向上だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.