1枚で地下鉄から美術館まで〜ソウル市交通カード「T-money」韓国携帯事情(2/4 ページ)

» 2005年01月24日 10時57分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

T-moneyの技術とは?

 韓国で最初に交通カードが登場したのは、1996年、ICチップ入りの「ソウル市交通カード」である。それまでは紙製のバスチケットが一般的だったが、バスチケット制作にかかるコストを抑え、乗客数とそれに伴う料金の透明化をはかるため、ICチップ入りのカードが発行されることとなった。

 当初はバスのみで利用できる、プリペイド式のカードのみだったが、2001年からはクレジットカードと連携した後払い式のものも利用できるようになり、地下鉄での利用も可能となった。カードの管理・運用はバス組合が行っていた。

 それまでのソウル市交通カードで使われていた規格は、フィリップス社の「Mifare」方式だ。昨年7月に発行されたT-moneyもこれと同様で、1Kバイトのメモリが搭載されただけのものだったため、日本のSuicaのような電子マネー的な利用はできない。昨年7月当時は交通カード自体というより、交通体系と、それに伴う料金システムの大きな改変が行われたといっていいだろう。

 料金システムは、それまでの一律料金から、バス、地下鉄合わせて10キロメートル以上乗ると5キロごとに100ウォン(約10円)追加される仕組みに変わった。バスの料金計算にはGPSを採用。バスの入口と出口付近に備え付けてあるT-money端末にカードをかざすと、バスの位置情報がカードに保存され、移動距離を計算して正確な料金を算出する仕組みだ。

 乗車時だけカードをかざせば良かった従来と違って、降りる際にもカードを端末にあてる必要が出たため、最初のうちは降車時にカードをかざすのを忘れる人が続出。バスの運転手自ら「降りる時もカードをかざしてください」と呼びかける光景が見られたが、そのかいあってか現在はかざし忘れる人も少なくなった。

 2004年12月に発行されたSmart T-moneyでは、交通だけでなく幅広い分野での決済に利用できるようカード自体に大きな変更が施されている。新たにCPUを搭載し、メモリも8Kバイトに強化されたほか、ICカードの規格も国際基準であるISO7816、ISO4443 TypeAおよびTypeBへと変更された。現在はTypeAのカードが流通しているが、後には交通カード機能を搭載するデバイスの技術によってTypeBと混在する状態となるという。

 支払いの際の保安認証モジュールとしては、韓国国内標準の「SAM」という方式が使われており、データの暗号化にはトリプルDES方式を利用している。SAM(Sequential Access Method)とは非接触型電子マネーの規格で、ビザキャッシュやモンデックス、K-Cash(韓国の銀行が参加して開発した標準的な電子マネー)などでも採用されている、韓国内の標準規格である。

地下鉄とバスの端末機。乗り降りの際、ここにT-moneyを当てる

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