迷惑メール撲滅には「通信の秘密」が足かせとなる

» 2005年03月08日 02時32分 公開
[江戸川,ITmedia]

 ドコモ本社内に設置されたバーチャルな研究組織、「モバイル社会研究所」。そのシンポジウムでは、携帯電話と社会との関わりについて行われた学術的な研究成果が発表された。

 「迷惑通信に関する電気通信事業者の責務」を研究テーマにしているのが、弁護士の横山経通氏だ。迷惑通信というのは、いわゆる迷惑メールを含む、架空請求やコンピュータウィルス付きメール、いたずら電話や無言電話などになる。

横山氏

 「本来、迷惑通信は発信者と受信者の通信当事者間の問題なので、通信事業者が間に入る必要はないのです。現在は“不満のはけ口”として寄せられる、利用者の声に対応しているという状況です」

 さらに問題の解決を遅らせているのが、電気通信事業法の「通信の秘密(4条)」と「役務提供義務(25条、121条)」の存在だ。通信事業者として守らなければならないこの事項によって、迷惑通信の撲滅は不可能だという。

 迷惑メールをすべてブロックして止めるには、メールの中身を事業者が見ることになり、通信の秘密を侵すことになる。また迷惑メールの送信者であったとしても、役務提供義務によって利用を拒否することができないというジレンマもある。

 もちろん事業者に対して、送信者の契約解除を迫るという手もないことはない。NTTドコモでは、悪質なメール送信者に対して利用の停止、契約の解除を行うことがある(2003年7月10日の記事参照)。ただしこれも、一度迷惑メール送信者と認定されたからといって、それが未来永劫続くものではない。ほとぼりが冷めたころにまた復活できる道が用意されている。

 郵送によるダイレクトメールは、費用対効果があるところに送られるため、経済学的に自然に規制されるようだ。定額制ブロードバンドによって登場したのが迷惑メールだとしたら、それは確かにIT技術の“光と影”といえるだろう。

左より、中央大学総合政策部教授の平野晋氏(ゲスト)、横山氏

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月08日 更新
  1. 「納品できない」──ギガファイル便で障害 運営元「ドメイン変えます」と暫定措置 (2026年07月06日)
  2. UQ mobile「コミコミプランバリュー」にクレカ割を導入したワケ 背景にahamoとY!mobileの“板挟み”も (2026年07月04日)
  3. mineoのオプテージが「携帯電話番号」の割り当てを受ける 「音声フルMVNO実現」に向けて大きな一歩 (2026年07月06日)
  4. 「撮り鉄」動画SNSで物議 駅員が「下がって」と制止も、スマホでの撮影に夢中 (2026年07月07日)
  5. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  6. アメックスが「プラチナ・カード」を刷新、10万円航空券クーポンや高級ホテル特典など ただし“年間500万円”の壁も (2026年07月06日)
  7. 【ワークマン】499円の「デイリーアンカーサコッシュ」 “見せる収納”もできるメッシュポケット付き (2026年07月07日)
  8. ソフトバンクが「SoftBank Free Style」でオープン市場に挑む理由 キャリアモデルの“登竜門”になるか? (2026年07月07日)
  9. Suica、JRE POINTのキャンペーンまとめ【7月5日最新版】 最大1万ポイント還元や新幹線35%オフなど (2026年07月05日)
  10. アップルがMacBook、iPadなどをついに値上げ――値上げを見送ったiPhoneのXデーはいつなのか (2026年07月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー