「モバイル社会の生活の質と安全」が開催:モバイル社会シンポジウム2005

» 2005年03月08日 02時27分 公開
[江戸川,ITmedia]

 2005年3月5日、有楽町朝日ホールにおいて、モバイル社会研究所が主催するシンポジウムが開催された。テーマは「モバイル社会の生活の質と安全」。携帯電話が便利になっていく一方で、社会的なルールが必要ではないかという問題意識の基に、学術的な研究を行ってきた5つのグループがその成果を発表した。

モバイル社会研究所とは?

 モバイル社会研究所は、NTTドコモ本社内に設置された内部組織。所長を中心とした理事会と、テーマごとに構成される研究グループに二分される(2004年4月1日の記事参照)。研究メンバーは大学教授や法学者、学生などを社外から募り、全体としてはバーチャルな研究体制が取られている。

 モバイル社会研究所の設立は2004年4月。NTTドコモ常務取締役である辻村清行氏は、シンポジウムの開会挨拶で、その設立趣旨をこう話した。

 「携帯電話は進歩しましたが、利用者が享受できるサービスを“光”とすると、迷惑メールのような“影”もあります。こうした光と影の両方をバランスよく分析、研究するのが“事業者”としての責務であろうと、社会科学的な研究の場を提供しているのです」

NTTドコモの辻村常務

 今回のシンポジウムにおけるセッションは全部で5つ。災害時の携帯電話の使われ方や、迷惑メールに対する事業者の取り組み姿勢といった、利用者にとっても身近な問題から、ケータイ文化の調査分析という大規模な研究までさまざまだ。

  • 災害時における携帯メディアの問題点
  • 著作権の最適保護水準を求めて
  • 携帯電話不正使用の予防に関する研究
  • 迷惑通信に関する電気通信事業者の責務
  • モバイル・メディアの文化とリテラシーをめぐるソシオ・メディア研究

 いずれの研究も、1事業者が本腰を入れて行うにはやや荷が重いという印象を持つ。ドコモがスポンサーとなり自由に研究をさせて、その中から都合の良いところを使うというのが、この研究所の位置づけになるのだろう。「事業者の責務」だけでなく、ビジネスへの展開も視野に入れているはずだ。

量子宇宙論まで飛び出す基調講演

 基調講演を務めたのは、モバイル社会研究所所長の石井威望氏。東京大学名誉教授でもある石井氏は、携帯電話と社会の関わりを考えたときに、これまで3つの変化が起こったという。

石井所長

 会場となった有楽町を舞台にしたドラマ「君の名は」を引き合いに出し、「男女が会うときに時間と場所をきちんと決めておかないと、すれ違いが起こって人生がすべて狂ってしまうというドラマですが、携帯電話があればこんなことは起こりません。携帯電話の登場が第1の変化です」と、歴史を振り返る。

 「第2の変化がiモードの登場で、インターネットと携帯電話が一緒になったということ。そして携帯電話にカメラが付いたことが第3の変化です。今や携帯といえばカメラが付いてるのがスタンダードになりました」

 さらに携帯電話に非接触ICが載ったことで、既に第4の変化も起こりつつあるという

 こうした事象だけを捉えれば、単に携帯電話の進化の過程を述べただけでしかないが、学術的に語られると実に難解に聞こえてくる。例えば第2の変化であるiモードは、「コンピュータネットワークとフットワークという別々の存在を、絡み合わせるエンタングルメント・ツール(注)であり、複数現実にわたる究極の最適化システム」となる。

注:Entanglement、絡み合うもの

 石井氏の柔らかな語り口調と、時に織り交ぜる事例の効果で、基調講演はよどみなく進んでいく。シンポジウムの参加者には研究者や学生が多いようで、こうした学術的な話の展開にも慣れているのだろう。基調講演はこの後のセッションで発表される内容に触れながら、30分ほどで終了した。

各国の万博では、これまでも常に“未来の姿”が提案されてきた。愛知万博はモバイル社会のショーケースとなるようだが、確実に理解できたのは、“NTTドコモは「愛・地球広場」のオフィシャルパートナーです”ということ。失礼しました


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