恋愛ってこんなものかも……? トゥルーラブストーリーモバイルコンテンツ・プチレビュー

» 2005年04月08日 17時47分 公開
[小松しおる(StoryWorks),ITmedia]

 恋愛ゲームといえば「ときめきメモリアル」と並んで不動の人気を保っているのが、「トゥルーラブストーリー」。この手のゲームの王道を行っている作品だ。

 現在までコンシューマゲームで6作品がリリースされており、DVDまで発売されている。今回はそのトゥルーラブストーリーの携帯版が出たということで(2月24日の記事参照)、さっそく試してみることにした。なお同ゲームは3キャリアで楽しめるが、今回はボーダフォンで試している。

Photo (C)1996,1999,2001,2003 ENTERBRAIN,INC./GameCRAB(C)G-mode
コンテンツ名 トゥルーラブストーリー
料金 1アプリ346円、従量課金制
対応機種 Vアプリ256K、256K ver.2用
アクセス 「メニューリスト」-「ケータイゲーム」-「シミュレーション・育成」

 ゲームの舞台は夏。高校時代の一夏を舞台として、女の子と出会って会話をし、毎日一緒に帰り、デートして恋心を育んでゆく……というシンプルかつ、オーソドックスな恋愛ゲームに仕上がっている。

 ユーザーはとにかく学校内を巡り、「出会いまくって」お目当てのキャラの好感度を一定値まで上げる。具体的には、画面上部にあらわれる「ときめきゲージ」と「どきどきハート」と呼ばれるメーターを参照。「世間話」「読書」など、18個の会話キーワードを上手く組み合わせながら談笑し、女の子のテンション(ときめきゲージ)を上げていくことになる。これでうまくいけば、寄り道デートや海などの休日デートに誘えるという仕掛け。

 注意しなくてはいけないのが、あまりにお茶目な会話ばかり選んでいると、女の子のドキドキ度が上がって、「どきどきハート」がパンクするということ。これで女の子は恥ずかしがって逃げてしまう。当たり障りのない会話を選ぶことも大事だ。

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意見の分かれるシンプルさ

 携帯アプリでまず目に付くのは、容量の都合なのか登場する女の子の髪型により「ショートヘア編」と「ロングヘア編」に分かれていること。この区切り方は好印象。

 一部ユーザーが激しいこだわりを見せる「メガネっ娘」はロングヘア編に1人いるが、あまりオススメしない。個人的に好感度が高いのだが、まるで目のかたきにされたように彼女の話だけ面白くなかった。非常に納得がいかない。

 惜しいと思ったのは、「今日の目標」「会話のレベルシステム」などの、コンシューマ版で面白かったシステムがすべて排除されていることだ。その潔さは、初代「トゥルーラブストーリー」をほうふつとさせてくれるので、旧来ファンには嬉しいかもしれない。しかし「トゥルーラブストーリー Summer Days, and yet...」あたりのファンには「なんでいまさら……」という感じがしなくもない。

 せめて、一番最初のパラメータ選択で、主人公の会話の傾向を選べるシステムぐらいは残しておいてくれても良かったのではないかと思う。

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おさえた演出に「後からじわじわ満足」

 このゲームの特徴として、シナリオがほぼ存在しない、という部分がある。女の子を攻略するまでは、いつまでもいつまでも夏が続く。

 そのせいか、話の進み方が淡々としすぎていて、女の子の感情の起伏がいまひとつつかめない。もちろん「るりチェック」を利用すれば、現在の女の子たちとの関係はチェックできるが、なんとなく話をして、何となく一緒に帰って、何となくデートして、告白……。どこかドキドキ感がないのだ。

 携帯の小さな画面では、表情の変化がつかみにくいせいもあるだろうが、やはりもう少し工夫がほしかった。

 とはいえ、最後までクリアすると「恋愛ってこういう小さな日常の積み重ねのドラマだよな……」と妙に納得してしまう。最近の恋愛シミュレーションは派手な演出や露出過多で、「ほら萌えろ!」「これはかわいいだろう!」という押しつけがましいものが多い。しかし、このゲームはキャラ絵といい、キャラの性格といい、なんというか、地味でまったりとしていて、癒される感じがするのが不思議だ。

 筆者も、遊んでいるうちはブーブーいっていたが、遊び終わった後は何となく満足してしまった。携帯というお手軽さもあるし、現実の恋愛に疲れているお兄さんや、昔の恋愛ゲームは良かったなぁと懐かしむ人には、ちょっと寄り道気分で遊んでもらいたいアプリだ。

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