話題の“音声定額”はどれだけお得なのか定額制を分析する(2/2 ページ)

» 2005年05月13日 23時22分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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定額の“2台目”導入で、プランを変えると?

 次にドコモやauユーザーが音声定額端末を追加で持つ場合のメリットを考えてみよう。

 現実的には2台目に音声定額の端末を持つことで、今まで利用していた携帯電話での1カ月あたりの通話分数が減るはずだ。つまり、より基本料金が安価な料金プランに変更可能になる場合が多い。

 簡単にいえば2人で音声定額の端末を2台目として持つ場合、1人頭で約2500円必要となる。つまり既に使用している携帯電話の月額利用料金を2500円分削減できれば2台持ちするメリットが出てくる。

  • 基本料金内で(無料通話分)で通話可能な分数
基本料金無料通話分数
家族以外家族間
ドコモFOMAFOMAプラン392656円 22分32分
FOMAプラン493339円 66分94分
FOMAプラン694567円 140分200分
FOMAプラン1006825円 272分389分
FOMAプラン15010237円 485分693分
au WINプランSS2610円 25分36分
プランS3279円 65分94分
プランM4617円 150分214分
プランL6693円 275分393分
プランLL10040円 800分1143分
 ※ドコモは対ドコモ携帯電話時。ファミリー割引、家族割適用、年間契約割引(1年目)時、同一区域内、日中

 音声定額導入を検討するのは、現状、比較的音声通話が多い人ということになる。ここではドコモのFOMAはプラン100、auのWINはプランLを現在利用していると仮定して見ていこう。

 FOMAではプラン100からプラン69に移行すると、月額基本料金は2258円安くなる。つまり300円増程度で家族同士の通話が定額となるが、無料通話分数は272分から140分とほぼ半分になる。

 WINの場合も概ね似たような傾向だ。プランLからプランMに移行すると、月額利用料金は2076円安くなる。500円程度の料金増で音声定額が導入可能だ。

 無料通話分を計算に入れると、2台持ちもぐっと現実的に感じるが、“家族間の通話が非常に多い”のが前提となるのには注意が必要。ここの仮定ではそもそも月間3時間以上は家族間通話がないと、料金プランを変更した場合、家族以外との通話料金が無料通話に収まらないことになる。

限定される“2台持ち”のメリット

 このようにドコモやauのユーザーが「ちょっと家族間通話が多い」と感じる程度では、なかなか2台持ちがメリットにならないのも実情だ。

 もちろんボーダーフォンやウィルコムの音声定額サービスを否定しているわけではない。インターネットがそうであったように、音声定額の導入によって、今までは通話料金を気にしていた家族間通話を遠慮なく行えるようになるというメリットはある。問題は、やはり家族間通話やウィルコム間通話といったように利用が非常に限定されることだ。

 ただ音声定額以外にもメリットがある。ウィルコムならEメールの送受信も無料であり、ボーダフォンではEメールの着信通知が無料。さらにウィルコムでは7月から開始予定のオプションサービス「リアルインターネットプラス[1x]」を使えば、1台あたり2100円/月の追加で、32KbpsパケットながらWebアクセスやPCでのインターネット接続まで定額とできるメリットもある。料金面の話にちょっと戻るが、ウィルコムなら片方を「安心だフォン」にして、発信を片方に限定すれば音声定額のための月額利用料金を2回線で3719円まで下げられる。

 ここまでで触れたように、ドコモ、auユーザーが2台持ちで音声定額による料金面でのメリットを享受できる条件は限定される。しかしEメール利用やデータ通信にも活用するなど“2台持ち”を積極利用するなら、ドコモやauユーザーが2台目としてウィルコムやボーダフォンの音声定額サービスを活用するのも悪くない選択だ。

音声定額、異なる導入背景

 同じ音声定額でも、導入の背景はキャリアによって異なる。ウィルコムは音声定額を視野に入れたインフラ構築を行ってきた上での導入となる。マイクロセルであることに加え、1000万加入を前提としたネットワークを構築していることから、無線区間、バックボーン共に比較的余裕がある。この余裕が、“自社網内であれば通話先を限定しない”音声定額を実現できた理由の1つに挙げられる。また戦略的にも、“携帯からの乗り換え”というよりは、“2台持ち”という追加回線需要を狙っているという側面がある。

 ボーダフォンの場合は、ほかの携帯キャリアに対するアドバンテージや番号ポータビリティ(MNP)対策という意味合いが大きい印象を受ける。

 ボーダフォンも現状、無線区間はドコモやauに比べて余裕があると思われるが、まだまだ無線利用効率の低いPDCが多く残っている。例え自社網内でもインフラ面から見れば大規模な音声定額サービスを提供するには無理がある。

 こうした背景からかボーダフォンの音声定額は、利用範囲がかなり限られている。音声定額利用が家族内に限定されるうえ、音声定額利用に必要な「家族割引」の適用は他キャリアに比べて制限が多い。ドコモのファミリー割引やauの家族割のように、同一名義、つまり1人の名義で簡単に利用できず、必ず家族である確認書類と記名が必要となる。さらに契約地域の異なる場合は家族割引を利用できない。

 3G端末が対象となるモバイルセントレックスを使ったサービスの1つ「Vodafone Mobile Office」は、1契約あたり定額9240円でグループ内でのボーダフォン端末間通話を24時間無料としている。最低でもこのくらいの定額料金でないと、自社網内でも本格的な音声定額サービスは提供できないとも見ることもできる。

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