作品名 | ザ・インタープリター(The Interpreter) |
監督 | シドニー・ポラック |
制作年・製作国 | 2005年アメリカ作品 |
ニコール・キッドマンが国連の通訳シルビア(インタープリター)に扮し、映画史上初めてニューヨークの国連本部で撮影が行なわれた本作。マトボ共和国(架空の国)の大統領暗殺計画をめぐり、スリリングなドラマが展開されていきます。
国連の世界平和の理念に共感し、5年前から通訳として働いているシルビア。ある日各国の言語が入り乱れる会議場で突然退去命令が発動され、シルビアも他の国連職員たちと一緒にしぶしぶ室外へ出て行きました。その後、シルビアは通訳ブースに私物の忘れ物をしたことに気付き、再び会議場へ戻ってきました。そこでシルビアは、ヘッドフォンから漏れる話し声を耳にしてしまいます。
「生きてここを出られない」
それはシルビアの生まれ故郷アフリカ・マトボ共和国のクー語でした。数日後に、マトボ共和国のズワーニ大統領が国連で演説することを知っていたシルビアは、偶然耳にした会話を暗殺計画と考え通報しました。
FBIや大統領の護衛のあたるシークレットサービスは、シルビアの通報を売名行為と捉えていたのです。誰より疑っていたのは、シークレットサービスのケラー。数週間前に妻を亡くしたばかりのケラーは、いまだに悲しみから立ち直れず、外出先から自宅に携帯で電話をかけて、妻の声の留守電のメッセージを何度も何度も聞いてしまうほど。上司はそんなケラーを心配していましたが、じっとして心の傷を癒すよりも、仕事に没頭して忘れたいとシルビアの身辺調査に打ち込んでいました。
暗殺計画を報告したにも関わらず、自分が疑われていると知ったシルビアはショックを受けます。さらに追い討ちをかけるように、スクーターで通勤するシルビアを何者かが車で轢こうとしてきたのです。震え上がったシルビアは、身辺の警護を懇願します。
しかし、ケラーはシルビアの過去を知れば知るほど、彼女への疑惑を募らせていくのです。マトボ共和国では、ズワーニ大統領と反体制勢力の抗争が激化しており内戦状態。シルビアの両親がマトボ共和国で何者かに殺されたという事実も分かり、ケラーはシルビアの政治的立場を問い正します。それでも、シルビアは今は国連の理念に基づいて行動していると、本心を隠すような態度を崩しません。ケラーとシルビアの価値観は相容れず、激しく対立するばかり。
ズワーニ大統領の演説が目前に迫った夜、シークレットサービスの相棒・ウッズに、シルビアの部屋の見張りを無理矢理交代させられたケラー。窓越しに覗いていたシルビアから、ケラーの携帯電話に連絡が入ります。
「ごめんなさい」
今までの強い態度から一変して、しおらしいシルビア。
「警備していただいているのに、あんな態度を」
「話を聞こう」
ケラーも落ち着いて応えます。
「あなたも眠れないの?」
今まで心の中を見せようとしなかったシルビアが語り出します。
「眠れない時は何をしているの?」
「起きている」
「あなたもつらいのね」
それは肉親を亡くした悲しみを持つシルビアとケラーの心が通い合った瞬間でした。
「電話しながら眠ってもいい?」
ケラーは窓越しのシルビアの姿をそっと見守っていました。
やがて訪れた大統領演説の日。国連本部は厳戒態勢が敷かれますが、シルビアは思わぬ行動に。ケラーはズワーニ大統領暗殺を阻止できるのか。そして心を通わせたシルビアを守ることができるのでしょうか。アフリカの内戦、テロ、暗殺、報復と、現代の国際政治のテーマを盛り込んだ重厚なストーリーとなっています。
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