「HSDPAで、日本は再び世界のトップになる」――Nortel(1/2 ページ)

» 2005年05月30日 21時55分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 携帯電話業界で“次世代の技術”といえば、やはりHSDPAだ。国内ではNTTドコモとボーダフォンが採用を明言しているほか、ソフトバンクやイー・アクセスといった新規参入事業者もHSDPAの実験を開始している。

 世界に目を向けると、フィンランドのNokia、それにスウェーデンのEricssonといったネットワーク事業者が各国でHSDPAのサービス開始を急いでいる。これらの事業者は日本市場もうかがっており、例えばEricssonは顧客にドコモを持っている。

 カナダのNortel Networksも、世界でキャリアグレードのネットワークインフラ構築を手がける事業者。HSDPAにも積極的で、日本の通信事業者と組んで日本進出する意志もある(2004年11月17日の記事参照)。日本に事業所を構えるノーテルネットワークスのワイヤレス ビジネス デベロップメント事業部長、エマニュエル・ソーケ氏に、HSDPA技術の現状と、今後の見通しなどを聞いた。

Photo ノーテルネットワークスのソーケ氏

HSDPAから開始、HSUPAやHSOPAも

ITmedia まずは、NortelとしてHSDPAにどう取り組んでいるか教えてください。既に実験なども行われているのですか。

ソーケ 米Qualcommと共に技術試験を行っており、良好なスコアを出している。英mmO2や仏Orangeなどとも実験を行っており、ネットワークの安定性、クオリティ、ビジネスモデルなどを検証している。

 Nortelとしては、まずはダウンリンクを高速化するHSDPAを最初にリリースしたいと思っている。次に、上りを高速化するHSUPA(5月11日の記事参照)。その次は、最大40Mbpsの高速通信を実現するHSOPA(High-Speed OFDM Packet Access)だ(2004年7月23日の記事参照)

ITmedia 具体的なスケジュールを教えてください。いつからHSDPAを提供可能ですか。

ソーケ HSDPAは、今夏にも開始できる。Nortelは米Motorola、韓LG電子などといった端末メーカーともパートナーシップを持っているが(3月16日の記事参照)、おそらく数カ月のうちには端末側の準備もできるだろう。

 技術をスライドで説明するのではなく、「もう提供できる段階にあること」、それがNortelの最大の強みだ。HSUPAは、詳細は未定だが2006年頃だろうか。HSOPAは、2007年から2008年になるだろう。

ITmedia 今夏からというスケジュールは、NokiaやEricssonと比べても早いように思います。技術開発は順調ですか。何か想定外の事態は起きませんでしたか。

ソーケ 「何もトラブルが起きない」というのが想定外だった。Nortelは、2年前からHSDPAに投資を行っている。HSDPAを提供するにはネットワークの最適化などノウハウがいるが、それを学んできた結果だ。

ITmedia とはいえ、日本市場ではさすがに今夏のサービス開始は無理のようです。

ソーケ 日本では、新規事業者に注目している。ドコモのようなレガシーネットワークを持っている事業者がインフラをHSDPAに変更するよりも、新規事業者が一からネットワーク構築するほうがずっと早い。

ITmedia ドコモより、新規事業者ですか。

 日本は、ドコモのiモードの成功によって、世界一の携帯先進国になった。3G導入の時も、世界中が日本を見ていた。しかし日本市場はその後、競争が少なかったため、次第に海外市場が追いついてきた。

 携帯電話メーカーで見ると、日本メーカーは世界のトップ5に入っていない。ほかの電気製品では1位、日本メーカー、2位、日本メーカー、3位、日本メーカー、4位にようやく米国メーカー……といった具合であるにもかかわらずだ。無線LANにしても、いまや中国が非常な勢いでインフラを整えてきている。そんな中、日本は10年たってもいまだに「iモード」だ。

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