鷹山や平成電電に続き、イー・アクセスも興味を示していることを明かした次世代無線技術WiMAX(5月23日の記事参照)。まだ周波数割当をどうするかも検討段階だが、注目度は高い。
6月6日に開催された甲南大学通信情報研究所主催の特別講演会では、そのWiMAXがテーマだった。米国連邦通信委員会(FCC)の戦略計画局、ケネス・R・カーター氏が登壇し、WiMAXのライセンス制度などを論じた。
ケネス氏は冒頭、オープンソース推進団体Open Source Initative(OSI)の創設者エリック・レイモンド氏の言葉を引用し、システムには「伽藍とバザール」の2タイプがあると話す。
前者の伽藍(大聖堂、カセドラル)は、しっかりとしたアーキテクチャを持っており、少数の有能な人間が孤立した状態で設計するもの。後者のバザール(市場)は、より開放的であり多くの人間が開発に携わるものだ。
こう前置きした上で、ケネス氏は、WiMAXとWi-Fiを比べると違いがあると話す。「WiMAXはWi-Fiを“ステロイド剤で増強したようなもの”だと例えられることもあるが、そうではない」
根本的に、WiMAXはカセドラル型で、Wi-Fiはそうではないのだとケネス氏。WiMAXは中央集権的で、ベースステーションとターミナルから成り立つ。より高出力で、通信範囲を広げられ、干渉を避けるための仕組みは導入されているが、干渉があり得る。
一方Wi-Fiは既に普及しており、アクセスポイントがあればいい分散型。出力も比較的弱く、機器の持ち運びを考えて設計されているという。
ケネス氏は、米国の周波数政策の特別作業班として、近年周波数は「命令と統制」を減らす方向で進んできたと紹介する。
この方向で、より多くの周波数をアンライセンス(無免許制)にしてきたという。「3600M〜3650MHz帯もそうだし、5GHz帯もU-NIIデバイス(国家情報インフラデバイス)向けにアンライセンスになっている」。その上で、WiMAXをライセンスモデルにすべきか、アンライセンスモデルにすべきかと問いかける。
ケネス氏の答えは、「ライセンスでもアンライセンスでもいい」――というもの。ライセンスといっても、実は難しいものではなく、個人レベルでも“結婚届を出して住民としての「ライセンス」を取得する”という行為は日常的だと強調する。
ただ、「個人的には、アンラインセンスのほうがいいと思っている」とケネス氏。「私はWi-Fi派。アンライセンスのほうがクールだ」と笑った。
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