ビル全体を、FeliCa携帯に対応させたビルが西新宿にある。新宿パークタワーは、NTTドコモの「おサイフケータイ」に対応した入退館システムを導入している。
6月23日、同ビルの運営を手がける東京ガス都市開発が、ビル内のシステムを報道向けに公開した。どのような仕組みになっているのか、体験してみよう。
ビルに入ると、まず目につくのがエレベーターだ。多少セキュリティを強化したビルでは、「カードキーを挿し込まないと特定の階にはいけない」(階のボタンを押せない)ようになっているもの。新宿パークタワーでは、このカードキーの役割をFeliCa携帯が果たす。
エレベーター横のリーダー/ライターに携帯をかざすことで、ほかの人間ではアクセスできない階に上れるようになる。ビル内のオフィスに通勤する社員が、会社にエレベーター用のFeliCaアプリを申請するイメージだ。ビル管理側はシステム面を調整の上、アプリダウンロード専用URLを通知する。
エレベーターを上って目当ての階につくと、オフィスルームのエントランスでまた認証システムがある。もちろん、申請済みの社員ならここでFeliCa携帯をかざすだけで開錠される。
少し面白いのが、この入退室システムとビルの照明・空調管理が連動していること。入室時には手動で明かりなどをつける必要があるが、退室時は「最後の社員が退室した」ことをシステムが把握できれば、空調と照明が自動で落ちる。これにより電気代が節約できる。
ビル内の食堂施設にも、FeliCa携帯が導入されている。これは単純にEdyの決済システムを採用しただけだが、ビル内の16カ所の自販機もEdyに対応しており、FeliCa携帯があれば手軽に飲食を行える。
オフィスビルは昨今、「近・新・大」以外は苦戦していると言われる。近は“駅から近いこと”、新は“新しいこと”、大は“高層ビルであること”を指す。
近・新・大の条件に合うビルでも油断はできない。最近では品川、六本木、汐溜と高層ビルが次々完成しており、競争が激化している。新宿パークタワーがビル全体をFeliCa携帯に対応させたのも「何か付加価値を付けなければ」との必要に迫られたためだ。
東京ガス都市開発の担当者は、おかげで新規入居者にも「ここまでできる」とアピール可能になったと話す。実際にみな興味を持ってくれるなど、手ごたえはあるとした。
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