百家争鳴──1.7GHz帯、2GHzTDDバンドに対する各社の意見

» 2005年07月08日 23時54分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 総務省は7月8日、1.7GHz帯および2GHz帯を携帯電話用に割り当てるに当たり、総務省が作成した方針案に対して寄せられた意見を公開した。

 問題点を、まずは整理しておこう。総務省が示した指針案の概要は以下の通り。

  • 1.7GHz帯を、5MHz幅ずつ新規2社に割り当て
  • 1.7GHz帯(東名阪バンド)を、追加で割り当て
  • 2GHz帯(3G・TDD方式)を新規1社に割り当て

1.7GHz帯──10MHz幅欲しいと新規2社

 1.7GHz帯は、全国向けに5MHz×3が確保してある。うち、5MHz幅ずつ新規2社に割り当てるのが総務省の方針だ(6月3日の記事参照)。新規参入を希望したのは、ソフトバンクとイー・アクセスの2社。

 ソフトバンクグループは「最低でも2波分の10MHz幅の割り当てが必要。望ましくは15MHz幅を当初から割り当てるべき」だとしている。

 イー・アクセスは、5MHz単位で割り当てることを「基本的に賛成」としながらも、「データ通信の規格を最大限に活用するには10MHzの割当が望ましい」とした。

 対する既存キャリアは、「新規参入希望者に割り当てる全国バンドを5MHz幅にすることは妥当」(ドコモ)など賛成の意向。ただしボーダフォンは、「新規参入事業者は当面の間、最大1社にすべき」だと意見を示している。

1.7GHz帯──追加基準が争点

 新規・既存問わず、周波数のひっ迫に応じて5MHz幅ずつ追加割り当てする方針なのが、5MHz幅×4の東名阪バンドだ。総務省指針では、既に割り当てられている周波数が多い事業者ほど追加割当の条件が厳しくなっている。

割当済み周波数幅 1MHz当たり利用者数
15MHz以下 50万人を超えていること
25MHz以下 75万人を超えていること
25MHz超 100万人を超えていること
追加割当の条件。割当が少ない事業者は、1MHz当たりの利用者が少なくても追加割当を受けやすい

 ドコモは「申請できる周波数を5MHz幅とするのは有効かつ妥当」としながらも、「(25MHz超を割り当てられている事業社に対する基準である)1MHzあたりの利用者数100万は厳しい基準だがやむを得ない」としている。

 KDDIも基本的には賛成だが、「(15MHz以下を割り当てられている事業者に対する基準である)1MHz当たり50万人の基準は、1MHz当たり100万人の基準と比して、周波数の有効利用を促すという観点からも見直しが必要と考える」とした。新規事業社などに対する基準が甘いという意見だ。

 ボーダフォンは、「高いシェアを持つ事業者に有利に働き、1.7GHzの東名阪バンドのすべてを取得する可能性がある。高いシェアを持つキャリアに集中的に割り当てられることを懸念」とした。

 一方で、新規参入組2社は、「東名阪バンドも新規参入希望者に優先的に割り当てるべき」(ソフトバンク)「東名阪バンドの追加は、新規事業者に優先的に割り当てる規定を置いてほしい」(イー・アクセス)と、自社を優先するよう希望した。

MVNO義務づけは?

 意見の中で、ソフトバンクが主張したのが既存事業者の設備を使ったローミングや設備共用だ。「全国でのエリア展開が終わるまでの間は既存事業者とのローミングや、設備共用などの施設を検討していただきたい」。英国では実際にローミングが義務づけられていることを挙げ、「海外同様の施策を検討していただきたい」としている。

 イー・アクセスも、「自前で全国ネットワークを構築するまでの間、既存事業者とのローミング等のルール化なども今後検討をすべきである」とした。

 これに対して、既存キャリアは総じて反対の姿勢。KDDIは「自らが構築するネットワークの充実を図ることが原則」とし、義務づけるべきではないとした。ドコモも、「ドコモとしても行うべきではない」(広報部)としている。

2GHz帯への新規参入

 2GHz帯はTDD方式で15MHz幅が新規参入に割り当てられる方針。ここではアイピー・モバイルが総務省案に全面的に賛成しており、参入が見込まれている。

 もう1社、参入を希望したのがPHSキャリアであるウィルコムだ。総務省指針では、3G通信方式によるサービスに割り当てることになっているが、同社は現行PHSにOFDMやMIMOを組み合わせた次世代PHSでの参入を希望している(7月8日の記事参照)

 同じように3G以外の通信方式を認めるよう希望しているのが京セラだ。自社開発の通信方式「iBurst」を対象とするよう意見を出している(7月8日の記事参照)

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