G'zOne TYPE-Rは優れた「航海機器」だった勝手に連載!「海で使うIT」(6/6 ページ)

» 2005年08月16日 21時02分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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そして実験は突然終わった

 表の測定データは19時測定分で途切れている。

 別に「まさにそのとき遭難した」ということではない。ようやく新島までたどり着いたその時間に太陽はついに沈み、不案内な神津島の恩馳島や三宅島の三本岳を深夜に回航する危険を避けるため、あえなく新島と式根島の狭い水道を抜けようとした、まさにそのときっ!

「バ、バッテリーが切れた……」

 バッテリーは出航時に満充電の状態だった。しかし、毎正時に通話テストを行うために、GPSを動かし、EZWebにアクセスし、なんだかんだで十数分ほど「通話」している。カタログスペックによると「連続通話時間は190分」とある。5時から19時まで都合15回。1回のテストが10分程度として150分。

 さらには「au電話の電波を安定した状態で十分に受けている場合の平均的な利用時間です。実際のご利用になる地域や使用状況などにより、短くなります」とダメ押しの一文が欄外に記載されている。電波が安定しないこと甚だしい海上は「短くなります」の条件にまさにぴったり当てはまる。

「そりゃ、たしかにバッテリーも切れますね」

 バッテリーはもうない。G'zOne TYPE-Rはバッテリー残量が残りわずかになると「エクステンションモード」に入り、使える機能を制限してバッテリーの延命を図るが、そこで使える機能は航海に役に立たないものばかり。「使える機能」をユーザーが選択できるとよかったのだが……

 今まで航海してきた航路は伊豆半島東岸と伊豆諸島西岸に囲まれた、どちらも人家が多いにぎやかな海域。対して伊豆諸島東岸に人家はほとんどなく、海域の東側は陸地すらない。このような条件で電波を捉えるのはかなり難しいと思われる。しょうがない。神津島や三宅島、そして伊豆諸島東方海域のテストはまた今度だ(え、また来るんですか)。

 

 こうして、過酷な「au通話テスト──伊豆諸島海域編」は終わった。

 バッテリーがある限り、G'zOne TYPE-Rは見事に航海ツールとしての役割を果たしてくれた。電子コンパスも十分使えたし、GPS機能と連動したEZナビも沿岸で使う分には簡易的なGPSプロッタとして利用できる。

 記事では詳しく触れなかったが、サブディスプレイに表示されれる時計(アナログ表示よりはシンプルで分かりやすい“デジタル時計1”がよろしい)も視認しやすく、3パターンのカウントダウンがセットできるタイマーはヨットレースで重宝するだろう。アラーム機能で自分で録音した号鐘の音を利用して「時鐘時計」にする遊びも、古きよき船乗りの雰囲気を盛り上げてくれるかもしれない。

 っと、ここまで来るといささか「無理やり」と見えるかもしれないが、しかし、これだってG'zOne TYPE-Rが登場したから可能になった使い方だ。

 G'zOne TYPE-Rはデザインだけでない、真に頼れる、タフな“マルチユースナビゲーションツール”として十分使える携帯電話だ。願わくば、バッテリー充電中でも電子コンパスやGPSが利用でき、そして気候変動が察知できる「気圧計」の機能を実装してもらえれば、より完璧な「航海道具」にまた一歩近づけるはずだ。

防水パック入り携帯電話、ハンドコンパス、ハンディGPS、時計、フォグホーンなどなど。これらの機能を(サブセット的内容ながら)1つにまとめたのがG's One TYPE-Rといってもいいだろう
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