「902i」の文字入力を考える(1/2 ページ)

» 2005年11月04日 22時35分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 902iシリーズの改善ポイントはいくつもあるが、地味ながら重要な改善となったのは“文字入力”だ。機種毎の違いも大きいこのポイントをまとめておこう。

ATOKから独自まで各種の文字入力方式

 まずは902iが採用した日本語入力システムを、1世代前も含めて一覧しよう。

メーカー 901iS 902i
NEC 独自/T9ダイレクト 独自/T9ダイレクト
パナソニックモバイル 独自/T9 Advanced Wnn
シャープ ケータイShoin3 ケータイShoin4
三菱 独自 ATOK+APOT
富士通 独自 ATOK+APOT
ソニー・エリクソン POBox(Wnn)

 機種別でも見ていこう。

 NECの「N902i」には、大きな変更はないようだ。出荷時は独自方式の日本語入力──5タッチで予測変換を行う一般的なものがデフォルトでセットされている。T9ダイレクトは、入力したい文字の頭の1文字を入力していけば、想定される単語の候補を漢字で並べてくれる(3月28日の記事参照)。各社が予測変換機能を強化する中、T9というシングルタップ入力方式にこだわるNECだが、慣れてしまえば「T9ダイレクト」は非常に快適に入力できるのは確かだ。

 シャープの「SH902i」も、文字入力に関しては小さなアップデートに留まる。感情表現に関する言葉のあとに、関連する絵文字がつながり候補として表示されるのが変更点の1つだ。ちょっと面白いのは、「カナ英数」変換機能だ。「あ」×1、「わ」×3と押して「100」が候補として現れる端末は珍しい。とはいえ、当初から機能の豊富だったケータイShoinだけに、他機種に劣っている部分はないといえるだろう。

 FOMA初参入のソニー・エリクソンは、ムーバ端末と同じく予測変換の先駆け「POBox」を搭載してくる。ただし、ジョグダイヤルではなく通常の十字キーを使うため、候補選択のやりやすさは他機種並み。POBoxは下を押すと、横に並んだ候補を順にフォーカスが移動していくが、下を長押しすると1段ごとにフォーカスが動くようになっている。つまり目的の候補が見つからない場合、高速にスクロールできる。

ムーバ時代の良さを引き継ぐ、P902i

 最も大きく変わったのは「P902i」だろう。これまではNECとほぼ同じ日本語入力システムを採用していたが(T9は「ダイレクト」化することなく初代のまま)、予測候補の選択に下キーの長押しが必要だったり(NEC端末ではニューロポインタで選択できた)、逆トグルが側面の押しにくいボタンに割り当てられていたりと、使いにくさが目立っていた。今回は、日本語入力を一新。「T9」の搭載は打ち切られたが、Advanced Wnnの採用により極めて一般的な予測入力機能を手に入れた。

 1文字入力すると、画面下部に6つの予測候補が表示され、下ボタンの短押しで選択できる。各候補には数字も割り当てられており、ダイヤルキーによるショートカットも可能だ。いったん単語を確定したら、そこにつながると予測される文字が表示される。これまでの独自方式とは異なり、最初から豊富な単語が登録されているので、学習の進行を待つことなく最初から予測変換を活用できる。

右は「P901iS」。画面構成も大きく変わった

 端末をよく見比べると、ダイヤルキーにも大きな変更があったことが分かる。1つは十字キーの下に「クリア」ボタンが設けられたこと。ここに来て、いわゆる業界標準のレイアウトに変更された。2つ目は逆トグルが、新設された「カメラ」ボタンに割り当てられた。3つ目としては、濁点/半濁点のボタンがNECと共通だった右の「#」から左の「*」に変更された。2番目と3番目は、改めて見るとムーバ時代の“P”端末と揃えるための改良だとも考えられる。902iに至って初めて、“P”ユーザーは使い勝手を継承したFOMAを使えるようになるわけだ。

右は「P901iS」。ダイヤルボタン配置もムーバ時代に戻り、さらに中央にクリアボタンがきた

改めて考えるATOKの魅力

 「F902i」と「D902i」は、FOMAとして久しぶりにATOKを採用した。特に“D”ユーザーにとっては、ムーバ時代に慣れた日本語システムが、ついにFOMAにも搭載されたといえる。ATOKはムーバ時代から評価の高い日本語入力システム。何が素晴らしいのかは、機能のある/なしというよりも、細かな処理と辞書のバランスというところだろう(1月12日の記事参照)。※ATOKは「FOMA D900i」でも採用されています。お詫びし、訂正させていただきます(11月5日付記)

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