三菱電機製の「D902i」(記事一覧参照)は、「D901i」「D901iS」(記事一覧参照)と続いたスライド携帯の3世代目となるFOMA端末。前モデルのD901iSから大幅な薄型・軽量化を図り、メイン液晶に2.8インチ液晶を搭載するなど、“折りたたみ型からの乗り換えユーザー獲得”を狙う強気の改良が見られる。
手に取って実感するのはボディの薄さ。前モデルの「D901iS」より4.5ミリ薄い19.5ミリになり、比率でいえば約20%スリム化されたことになる。重さも116グラムと前モデルより12グラムの軽量化が図られた。902iシリーズ全体で見ると、ストレートタイプの「SO902i」より薄く、SO902i、「P902i」に次ぐ軽さだ。D901iSで好評だったワンプッシュオープンボタンも引き続き採用している。
ハードウェアスペック面では、音声通話タイプのiモード端末としては最大級の2.8インチ液晶ディスプレイを装備した点が目を引く。解像度は240×400ピクセルでauの「W31CA」と同じだが、W31CAの液晶サイズは2.6インチとひと回り小さい。W31CAでは、2.4インチQVGAディスプレイを見慣れていると文字サイズが少し小さいようにも感じられたが、D902iではこうした印象は受けなかった。
キー配置はD901iSをほぼ継承しており、本体側にはダイヤルキーと「*」「#」キーが置かれている。ディスプレイ部側に方向キーやセンタキーを含む多くのキーをレイアウトすることで、閉じたままでも文字入力以外の多くの操作を行えるようにしている。またボタン形状や数字キーのレイアウトは、デザイン優先の感があったD901iSと異なり、より一般的なものになった。
ダイヤルキーの操作性は、D901iSに比べて向上している。ディスプレイ側が大幅に薄くなっているため、本体側とディスプレイ側の段差が小さくなり、この点が操作のしやすさにつながっている。またD901iSではディスプレイ側と本体側のキータッチが大きく異なっていたが、D902iではほぼ同じキータッチになり、違和感がなくなった。
メールは、2.8インチディスプレイの恩恵を実感できる機能の1つだ。最小フォント(16ドット)で1画面に表示できる行数は、D901iSの15行から18行に増加。行間を広げたことで視認性も向上している。QVGA液晶で400文字を表示可能な端末がある中、1画面当たりの表示文字数が270文字(14文字×18行)というのは少々情報量が少ないが、これは視認性を重視したためだろう。メモ帳入力などのインライン入力時には、横19文字の12ドット表示も使えるが、メールやWebの閲覧には対応していない。
メールの基本機能は、前モデルからそれほど大きく変わっていない。フォルダへの自動振り分けは受信メール、送信メール共に可能だが、自動振り分けが可能なのは受信/送信時のみとなる。振り分け条件は「メールアドレス」「題名」「(アドレス帳の)メモリ番号」「(アドレス帳の)グループ」と豊富で、迷惑メール対策用にも使える。「電話帳登録なし」や「条件なし」から選べる。振り分け条件設定時に振り分け先フォルダを指定する仕様のため、異なる条件を同じフォルダに対して設定し、自動振り分けさせることも可能だ。
残念なのは「メールアドレス」が、部分一致やドメインのみの指定に対応しておらず、フルメールアドレスでしか振り分けできない点。ドメインが同じ、例えば“itmedia.co.jp”と付くアドレスから来たメールはすべて、などの条件で振り分けたい場合には、アドレス帳グループなどを活用して設定することになる。またメールの送信元アドレスなどを指定して直接振り分け条件に登録できないのも少々不便だ。
なお、新規に受信したメールが自動振り分けされた場合、待受画面上のメール受信通知からアクセスすると、振り分けられたフォルダにフォーカスが当たるようになったのは便利な改善点。電波の届かない場所で作成したメールを、通信可能になった時点で送信してくれる新機能「圏内自動送信」も、地下鉄の中などで便利に使える機能だ。
「テレビ電話」キーと「メール」キーはページスクロールキーに割り当てられ、左右キーで前後のメールに移動できるなど、メール閲覧時の操作性は悪くない。ただしページスクロールキーを連打しても表示がついてこない点は、せっかちな人ならイライラするかもしれない。
なお、制限つきながらメール機能内でもメール作成とメール閲覧のマルチタスクが可能なので、メール作成中にも中断させることなくバックグラウンド受信したメールを閲覧したり、メール作成中に複数のメールから引用することもできる。
音声通話との連携は、音声通話の発着信履歴からのメール作成、送受信メールからの音声発信共に可能。ただし先頭に登録されたメールアドレスへのメール作成および電話番号への音声発信となり、アドレス帳に複数登録されたメールアドレスや電話番号から任意には選択できない。メールと音声通話の連携を頻繁に利用するなら、アドレス帳登録時に注意が必要だ。
メールはスライド操作との連携にも対応する。閉じたまま受信メール一覧や本文を表示させた際に、スライドを開くと相手のアドレスが入った返信画面を表示できる。省略できるのは操作の1ステップ分だけだが、スライドスタイルを生かした機能といえる部分だ。同様のスライド連携はスケジュール確認時やアドレス帳閲覧時にも利用でき、個別に連携機能をオン/オフ設定できる。
大画面を活用した新機能として挙げられるのが「電話帳でメール検索」と「カレンダーでメール検索」。任意の相手や日付から受信メールを検索できる機能で、受信メール内の「受信BOX」にカーソルを当てた状態でメニューキーを押し、「メール検索」を選ぶことで表示できる。それぞれ2件の最新メールの受信日や題名が画面下部に表示され、決定キーを押すと、選択した日時や相手からのメール一覧が表示される仕組みだ。
また、返信を急ぐ際に便利な「クイック返信」という新機能もある。この設定をオンにしておくと、メール返信時に「OKです」「NGです」など5つの返事の候補が表示される。いずれかを選んで送信ボタンを押すだけで返信操作が完了する。返事の文面は、任意の言葉に編集可能。この機能を使えば、閉じたまま“とりあえずメール返信”することができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.