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» 2006年01月10日 18時31分 公開

韓国携帯事情:2006年の韓国携帯電話トピック

地上波DMB、Wibro、販売補助金、ドコモとKTFの提携──。2006年に予定されている韓国の携帯トピックを概観していこう。

[佐々木朋美,ITmedia]

 衛星/地上波DMBの本格サービス開始や、PantechのSKY買収など、さまざまな出来事があった韓国の携帯電話市場だが、2006年に入ってもさまざまなニュースを提供してくれそうだ。2006年に控えているトピックを、時系列に挙げてみた。

1月──ついに販売。地上波DMBフォン

Pantech & Curitelの地上波DMBフォン「PT-K1800」(KTF)、「PT-L1800」(LG Telecom)。地上波DMB用のリモコンが付属している。画面は2.2インチのQVGA TFT液晶で、カメラは130万画素

 昨年12月に商用サービスを開始した地上波DMBだが、キャリアの収入モデルが確立しにくいことから対応携帯電話の販売が行われることはなかった。

 しかし昨年12月末、LG Telecom(以下、LGT)が2006年1月から地上波DMB携帯の発売を発表すると、これに負けじとKTFも同様の発表を行った。

 そして1月1日、ついに衛星DMB携帯電話が店頭に並んだ。最初に登場したのはLG電子のLG-LD1200(2005年10月月25日の記事参照)。テレビ画面のキャプチャ機能はもちろん、朝、地上波DMB放送が自動で起動して眠りから目覚めさせてくれる「モーニングコール」機能など、ユニークな機能も持つ。

 このほかSamsung電子もKTF用に地上波DMBフォン「SPH-B2300」の販売を開始した(2005年10月月25日の記事参照)ほか、Pantech & CuritelはLGT、KTF両社に向けた端末を販売している。

 LGTはMP3プレーヤー付き携帯電話やモバイルバンキングなど、これまでにも新サービスをどこよりも早く提供することで話題を巻き起こしてきた。KTFとLGTがサービスを開始したことで、地上波DMBサービスを行っていないのはSK Telecom(以下、SKT)のみとなった。以前からユーザーの希望が多かった地上波DMBフォンが販売されたことにより、2006年は本当の意味での地上波DMBサービスの開始年となりそうだ。

3月──補助金制度、条件付きで再開

 韓国では基本的に禁止とされていた携帯電話の補助金だが、今年3月末にそれを定めていた「電気通信事業法」の期限が切れる。これをきっかけに、昨年後半から補助金支給の有無を巡って政府で話し合いが行われていた(3月22日の記事参照)

 韓国政府の情報通信部は昨年の話し合いにより「同一のキャリアに3年以上属している人」「W-CDMAやWiBroなど新技術が適用された端末」に限り補助金を許可し、この有効期限は3年後の2009年3月までにするという法案を出している。

 しかしその後、公正取引委員会などさまざまな機関の審査を通過するごとに法案は修正され「同一キャリアに2年以上属している人」に対し2年後の2008年3月までの期限で許容した方が良いとの案も出されており、方向性が見えない状態となってしまった。

 この結果は2月の国会で再度論議される予定で動向が注目されている。

4月──国際標準、WiBro商用サービス開始

 4月には通信会社のKTが、WiBroの商用サービスを開始する予定だ。

 KTは昨年11月、釜山市で行われたAPEC(アジア太平洋経済協力)で「KT WiBro」の試験サービスを行った。その際、Samsung電子によるWiBro端末も初お目見えしている。(2005年11月17日の記事参照)

 KTは全国の主要都市でWiBroの利用が可能となるよう、今後3段階に分けてWiBro網を構築していく予定だ。またWiBroだけでカバーできない区域では、公衆無線LANサービスのNespotや、KTFの携帯電話網をも利用することで、全国どこでも無線インターネットが利用できる環境作りに努める。

8月──MP3メーカのReignComもWiBro市場参入

 KTとWiBroに関して提携を行ったのが、「iriver」のブランド名で日本進出も果たしているMP3プレーヤーメーカのReignComだ。ReignComは昨年にポータブルゲーム端末機市場への新規参入を宣言しているが、その端末はWiBro対応となる予定だ。

 同社のゲーム機はチップメーカーのNEXUS CHIPと、国立の研究機関である韓国電子通信研究所とともに共同開発されている。秒間4000万ポリゴンの処理能力を誇るグラフィックチップが搭載されるほか、WiBro網だけでなく自宅や会社などの固定のブロードバンド網でもインターネットにアクセスができるようになるという。

 ゲームは各コンテンツプロバイダとの協力で提供されるということだが、昨年はゲームポータル「Netmarble」を運営するCJインターネットと、ゲーム提供についての契約を行っている。このほか動画や音楽、チャットやコミュニティなど、さまざまなサービスを提供できるようReignComやKTによるポータルサイトも用意する予定だ。

2006年中──NTTドコモとKTFの契約の成果が見えてくる

 昨年12月、NTTドコモはKTFに5649億ウォン(約665億円)を投資することで同社の発行済株式の10%を取得した(2005年12月15日の記事参照)。この提携によってNTTドコモはKTFに対し韓国内のW-CDMA網の構築支援を行うことを明らかにしているほか、W-CDMA端末の共同開発も行う予定だ。

 今年はエリア・端末共に盛り上がりに欠けた韓国でのW-CDMAだが、ドコモとの提携でなかなか進まないW-CDMA網の構築が急速に進み、より高速なHSDPAの導入も大幅に進展する可能性もある。また日本人にとっても、ローミングエリアの充実だけでなく、両社による新しいサービスを享受できるなど、何かしらのメリットがあるかもしれない。

 また両社は提携により新規グローバル事業の模索を行うともしているので、日韓両国に限らない、より広い範囲へのサービス拡大も十分に考えられそうだ。

KTFとNTTドコモの調印式。左がKTF社長のCho Yongchu氏。右がNTTドコモ副社長の平田正之氏

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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