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» 2006年01月20日 00時05分 公開

韓国携帯事情:韓国の代表的携帯電話雑誌「m-talk」

韓国ではモバイル雑誌はあまり多くないが、専門色の薄い雑誌「m-talk」は一般ユーザー向けとして人気が高い。同誌の人気の秘密を探った。

[佐々木朋美,ITmedia]

 韓国におけるモバイル雑誌は、数誌程度と種類はそれほど多くはない。その中で専門色が薄い、一般ユーザー向けの雑誌は唯一inews24社の「m-talk」のみだ。携帯電話初級者から上級者、10〜20代の若者から30〜40代まで、幅広い層から支持されているm-talkの人気の理由を、同雑誌の編集者であるJo Jiyoun氏とLee Eunyoung氏に聞いた。

携帯電話を中心にモバイル分野を広く扱う

 m-talkは携帯電話関連の情報を中心に、MP3やデジタルカメラ、イヤフォンなど、モバイルに関する情報を総合的に扱うモバイル専門雑誌だ。最新機種のレビューから時事的な特集記事、イベントリポート、コンテンツ紹介まで、携帯電話に関するあらゆる情報を網羅している。写真を多様したオールカラーの誌面からは親しみやすさが感じられ、それが若者を中心に人気を得る理由の1つとなっている。

 m-talkの発行元であるinews24社は、同名のインターネットニュースサイトを運営しているニュース社だ。「inews24」ではITニュースを中心に伝えており、同社はこれとは別に芸能ニュースを専門的に伝える「Joynews」も運営している。

 m-talkが創刊したのは2002年6月のことだ。「韓国はモバイル分野が発達している国の1つですが、当時、モバイル雑誌といえば技術職に向けた専門誌が数種と、各キャリアが宣伝用に発行するファッション誌仕立ての無料雑誌しかありませんでした。そこで、一般ユーザーに向けたモバイル雑誌を、と創刊されたのがm-talkなのです」と、m-talk編集部員のJo Jiyoun氏。

 メインターゲットは、携帯電話で通話だけでなくデータサービスもよく利用する10〜20代だ。そのためゲームを始めとしたエンターテインメント情報や携帯アクセサリ情報なども幅広く扱う。

 「ただし読者カードなどを見ると、30代や40代の読者も結構いることが分かります。そういった層は大抵、補助金など時事的な問題に関心を示している場合が多いです」(m-talk編集部員Lee Eunyoung氏)という。こうして幅広い層から人気を得る同誌は現在、月に3〜4万部を発行している。

Photo 携帯電話を飾る、キーホルダーやアクセサリにも毎月2ページが割かれるほか、時事的な話題も必ず取り上げられる。1月号ではイヤフォンで音楽を聴くことで若者にも難聴が増えているという話題を扱っていた

新機種およびコンテンツ紹介が人気

 m-talkで最も人気の記事は新機種の紹介だ。中でも特に高画素カメラや衛星/地上波DMBなど最新機能を搭載した機種には多くの関心が集まるという。またデータサービスの利用率の高い世代が中心読者とあり、コンテンツ関連の記事も人気だ。

 そのためm-talkでは毎月、未発売の商品も含めた特定機種の詳細な紹介ページや、最新機種のスペックをキャリアごとに10〜15機種程度ずつ紹介するコーナーを設けている。また「ゲームはデータサービスのキラーコンテンツ」(Lee Eunyoung氏)ということで、ゲーム紹介にも多くのページを割く。

 今年からは、読者層のことを考慮して、さらに誌面内容を全体的に易しく、柔らかめに変えているほか、インターネットのブログ紹介など社会的な流行や傾向も加味した内容に変えている。韓国ではインターネットのブログ利用者が1000万人を超え、中には携帯電話から書き込みをする人もいるため、m-talkにとっても無視できない存在となっているようだ。

Photo 雑誌の前のほうにあり、大きく目を引く製品レビューと、最新の携帯電話のスペックを一挙紹介する「最新携帯電話総集合」は、いずれも人気の高いコーナー
Photo ゲーム情報も豊富に紹介しているほか、PSPの情報ページも別途設けられている
Photo 雑誌の中に綴じ込まれている小冊子では、主に携帯電話にまつわるデータや、料金制度の紹介が行われている

編集者が見る、日本市場とは

 同誌では昨年、韓国ソウル、中国北京、および東京のアジア3都市の携帯事情を詳細にリポートする特集記事を組んだ。その際、東京取材を担当したのがJo Jiyoun氏だ。

 同氏に東京での印象を聞くと「割と高機能な携帯でも、価格が韓国の2〜3分の1程度と安いのに驚きました。あとは携帯電話でメールを送受信する人、音楽を聴いている人が目につきました」という。

 このほか「カラフルでデザインがかわいらしい。そして画面が大きい」とは、両者が口を揃える。

 アジア3都市の特集が組まれるほど韓国ユーザーは隣の国に関心が高い。特に韓国と並ぶ携帯先進国の日本には強い関心を示しており、個人のブログなどでは日本の最新機種が写真付で紹介されることも珍しくないという。そこでユーザーたちはデザインについて意見を交わしたり、技術面でどこまで進んでいるのかをチェックしたりしているようだ。

 これと同様、携帯電話同好会のようなものもある。ただしモバイル全体に関するものではなく「たとえばAnycallのSCH-V740など、特定機種のユーザー同士の集まりはあります。そこでその端末だけに特化した使いこなし術について情報交換をしています。またSKYのようなブランド力の強いメーカーならば、メーカーだけの同好会もあります」(Jo Jiyoun氏)という。

今年の注目トピックは「WiBro」と「DMB」

 また両者が今年の韓国の携帯市場で注目しているトピックは「今年上半期に商用化される予定のWiBroと、今年から専用の携帯電話も販売された地上波DMB、そしてそれに対抗する衛星DMB。それから細かいことではありますが、インターネットサービスのメニュー構成の改正や周辺機器を連結する端子規格をキャリア間で統一すること」だと言う。

 昨年、韓国政府の情報通信部参加の通信委員会は、「NATE」「Magic n」「ez-i」などのインターネットに関して、深く複雑なメニュー構成を改正しユーザーの料金的負担をなくすよう命令した。また現在のところキャリアごとにバラバラの、イヤフォンやデータケーブルなどの端子を統一する動きも本格化する。

 変化の速い韓国市場では、このほかにもさまざまなニュースが出てくることが予想されるが、その中でm-talkでは携帯電話市場のトレンドをつかめるような内容作りに努めている。

 「ニュースを伝える新聞より、さらに一歩踏み込んだ深い記事を伝えられるのが雑誌の良い点。携帯電話市場の方向性が見えるような、読み応えのある雑誌にしていきたい」とJo Jiyoun氏は話した。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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