子どもを守る携帯電話 韓国版“キッズケータイ”韓国携帯事情

» 2005年12月13日 08時00分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 NTTドコモのキッズケータイ「SA800i」が来春に販売を予定しているが(11月24日の記事参照)、同様の子ども用携帯電話が韓国にもある。すでにシステムの運用は開始されており、多くの子どもに利用されている。韓国版「キッズケータイ」の詳細を見てみよう。

SK Telecomの「i-Kids」携帯とは

 韓国で子ども向け端末およびサービスを大々的に提供しているのはSK Telecom(以下、SKT)だ。昨年7月末に開始された「i-Kids」と称されたこのサービスでは、同社の通信網とGPSとを活用した、子ども(12歳以下対象)を保護するサービスが提供されている。月額利用料は3000ウォン(約350円)だ。

 i-Kidsサービスを利用するには専用端末が必要で、現在のところBellwave製の「BCL-862S」1機種が対応している。

 BCL-862Sは4つまで番号を登録でき、登録した相手に電話をかける場合は端末前面に円形に並んでいるボタンを押すだけ。「NATE」などのインターネットサービスには対応しておらず、SMSメッセージは受信のみ可能。子どもによる携帯電話の無駄遣いを抑える機能もある。

 緊急時には緊急ボタンを押せば、あらかじめ登録してある番号と同時通話が可能になるほか、登録された番号には子どもの位置がSMSで知らされる仕組みとなっている。さらに緊急時には、電話を受けずとも自動的に通話モードに切り替わる。たとえ端末の電源を切っていても「Blind Power-off」機能により位置の追跡ができるなど、子どもの安全確認のための徹底した機能を持っている。

i-kidsサービスは、Nexmore Systems(ソリューション)とBellwave(端末)とSKTとで共同開発された。中小企業の海外進出を支援するため、SKTと仏Alcatelが設立した開発センタ施設「3G Reality Center Seoul」を活用した、代表的な大・中小企業協力事例にも選ばれている

位置情報サービスに集中

 i-Kidsサービスは、位置情報提供サービスと言い換えても過言ではない。

 なかでも代表的なのは「安心Zone」だ。これはあらかじめ子どもの行動範囲を決めておけば、そこから子どもが出た場合、保護者の携帯電話に10分間隔で計2回SMSメッセージが送られてくるというものだ。さらに子どもが行動範囲から1キロメートル以上離れた場合は電話がかかってくる。

 このほか子どもから保護者に電話がかかってくるのと同時に、子どもが現在いる場所を表示したり、子どもの48時間の移動経路を確認でたりするサービスもある。

需要とともにさまざまな端末やサービスが登場

 韓国で最も早く子ども向けサービスを提供したのはLG Telecom(以下、LGT)だ。とはいっても、SKTのように位置情報サービスを提供するというものではなく、教育やゲームなど子ども用コンテンツを提供するというものだ。

 2004年にスタートした「Kids LAND」は、10代など低年齢層の携帯電話利用が増加傾向であることに目をつけ開始されたサービスで、同社のインターネットサービス「ez-i」上に設けられたWebページ「Kids LAND」で、カラオケや童話、ゲームや教育などのコンテンツを提供している。月額3000ウォン(約350円)を支払えばこれらのコンテンツがすべて無料で利用できる。

 Kids LANDに類似したサービスとしては、KTFでは「Kids Nara」を同社のインターネットサービス「Magic n」上で提供している。これはYahoo! Koreaの子ども専用ポータルのコンテンツを「Magic n」で提供するというもので、童話や童謡のほか漢字やアルファベットの学習ができる。

 またKTFは「モバイルボディガード」サービスも提供している。これは携帯電話にダウンロードして使うソフトウェアで、緊急時に立ち上げるとあらかじめ登録しておいた3人に同時に電話がかかるほか、位置情報がSMSで伝えられる。同時に緊急音が発せられ、周囲に助けを求められる。

 子供に限定してはいないものの、緊急時に対応する携帯電話も販売されている。LGT用の「PG-L5000」(Pantech & Curitel製)は、緊急ボタンが付いたGPS対応の携帯電話だ。緊急ボタンを押すと自動的に撮影モードとなり、周囲の様子を撮影した写真が、あらかじめ登録しておいた3つの電話番号宛に送られるほか、自動的に電話がかかるようになっている。

Pantech & Curitelの「PH-S1500」。自分の位置を周期的に特定の携帯電話に知らせる「安心帰家」機能もある

 SKT用の「PH-S1500」(Pantech & Curitel)もGPSに対応しており、緊急時には最大4人へ位置情報が送られるほか、最も近い場所にある警察署に電話がつながる機能も持っている。

 子どもの保護機能を持つ携帯電話およびサービスの需要は最近、世界的に高くなっている。11月にCingularは、数字ボタンのない子ども用携帯電話「Firefly」を販売した。SKTの「i-Kids」と関連ソリューション、Bellwaveの専用端末も、オランダなどへ輸出されている。

 携帯電話の、位置情報機能や場所を問わない通話機能は、子どもの保護という意味では最適の機能だ。韓国でも需要の拡大とともにサービスや端末の拡大が図られており、特に現在のところバリエーションが少ない対応端末も、今後は増えていくと見られる。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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