「neon」の特徴として、四角い外見と並んで重要なのが「背面にLEDの文字が浮かび上がる」こと。時計や再生中の楽曲情報、着信中の相手の名前などを表示することが可能で、アニメーションも含めて142種類のパターンが登録されている(1月19日の記事参照)。
「一見何も起こらなさそうな、つるっとして平らな面がいきなり光る。この驚きを味わってほしい」と話すのは、au design projectを率いるKDDIプロダクトデザインディレクター、小牟田啓博氏。「KDDIに聞く『neon』」後編は、背面およびそのLED表示に焦点をあてる。
neonの表面は、写真で分かるとおり何もないフラットなデザインになっている。LEDが光らない状態でも、表面に光沢があって天井の蛍光灯などが映りこんで見える。
「四角い形状で、このような光沢を出すこと自体、実は難しい。『PENCK』のように、丸くなっていれば塗装の問題もないのだが……」。小牟田氏は、同じく表面のツヤ出しで苦労したデザイン端末、PENCK(2005年2月24日の記事参照)を引き合いに出しながら、neonの塗装の難しさを話す。
「塗装というのは、結局液体をかける行為。丸い面だと液体がバーっと広がって、きれいになじんでくれる。しかしフラットな面だと、液体が行き場をなくして“ゆず肌”(表面の凹凸)につながる」。neonが、問題ないレベルとはいえ完全な鏡面にならなかったのは、そんな理由があるという。
小牟田氏はまた、このツヤのある面に裏側から光をあててLED表示を透けさせるのが、非常に苦労したポイントだと話す。それも、ただうすぼんやりと光らせるだけではだめだという。
「暗い場所で光っているのが確認できる……ということなら、難しくない。明るい場所でも、LED表示が見えないといけない。何ルクスで表示が見えるか、チェックしてある」。同氏によれば、日常生活で室内の明るさは500〜700ルクス程度。白熱灯などであればもう少し明るさは落ち、300ルクス程度になる。しかし明るい店舗などに行くと「1100ルクスとか、1000ルクス以上になる」。この状態でneonの背面ディスプレイがきれいに見えるようにする必要があった。
「日常生活を想定して、500ルクスで見えればいいや、と考えてはだめ。例えばauショップなどは明るい。ここで展示されている状況で、きちんと見えるようにしている」
neonは「shiro/mizuiro/kuro」の3色で展開されるが、LED表示を考える上で特に大変だったのがkuro(黒色)だ。
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