「VoIPはモバイルへ」とNokia CEO3GSM World Congress 2006

» 2006年02月14日 11時59分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 モバイル業界最大のイベント「3GSM World Congress 2006」が2月13日、スペイン・バルセロナで開幕した。この日、プレス発表会を開いた世界最大手の携帯電話メーカーNokia(フィンランド)のヨルマ・オリラCEOはモバイル業界の展望と同社の戦略について語り、固定電話会社を脅かしたVoIPの波がモバイルにも押し寄せているという見解を示した。

今年6月でCEOを降りるヨルマ・オリラ氏。今年が最後の3GSMとなりそうだ

 3Gが浸透期に入り、HSDPAなどの新しい技術に注目が集まるモバイル業界では、データの利用をいかに増加させるかにフォーカスが集まっている。だが、オリラ氏はこの日、「音声が転換期を迎えている」と音声分野で起こっている変化を取り上げた。

モバイルへ、そしてIPへと移行する音声

 固定ベースでユーザーを獲得し、インターネットのアプリケーションとして定着しつつあるVoIPが、「次はモバイルに移行する」とオリラ氏。これは、各事業者にとって何を意味するのだろうか? モバイルオペレータには屋内カバレッジ拡大のチャンスとなるし、固定と無線の両事業を持つハイブリッド型のオペレータにとってはサービスを1つにまとめてパッケージとして提供するチャンスとなる。また企業から見ると、固定と無線の2つに投資する必要がなくなる。Nokiaは既に、この分野で米Cisco Systems、米Avayaと協業してソリューションを提供している。固定ベースのインターネットの世界で築いたブランドを拡大したいインターネット企業にとってもチャンスとなる。

 同社がこの日、キーワードとして取り上げたのは、「UMA」だ。Unlicensed Mobile Accessという名の示すとおり、ライセンスされていない周波数帯を使うことで、屋外ではGSMなどのセルラー網に、無線LANアクセスポイント圏内では無線LANを利用して通話ができる。通話中でも途切れることなくシームレスなハンドオーバーを実現するための標準技術だ。UMAのメリットとしては、PC不要、1台の端末、1台の電話番号、移動性、安価な音声通話などが挙げられるという。世界的に注目されている英British TelecomのFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「BT Fusion」でも利用されており、他社もUMAを利用した実証実験を展開しているという。

 同社はこの日、UMAをサポートしたGSM端末「Nokia 6136」を発表した。NokiaのUMAサポート端末は同端末で2機種目となり、今後UMAを重視する計画のようだ。UMA端末は同社のほか、米Motorola、韓国のSamsungなどが提供中か提供を計画中だ。

 UMAはマルチラジオ戦略を取る同社にとっては自然な流れとなる。同社は既に無線LANサポート端末を9機種出しており、WiMAXにも参画している。FMC分野では同日、UMAのほかにも、IMSソリューションの「Nokia IP Multimedia Subsystem 2.0」をリリースした。

 オリラ氏はこのほか、今年の見通しとして、3G端末が4000万台、音楽端末で8000万台数の出荷台数を予想しているとも述べた。

 Nokiaはこの日、Nokia 6136のほか、「Nokia 6131」「Nokia 6070」のGSM端末を発表したほか、モバイルテレビで英Sony Ericssonと共同でモバイルテレビ技術のDVB-Hの相互運用性を開始すること、エンタープライズ分野では、Intellisyncの買収を完了(2005年11月17日の記事参照)、マルチ端末、マルチプラットフォームをサポートすることなども合わせて発表している。

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