携帯メールの本文に「知りたい情報」を入力して送信すると、その情報がサーバからメールとして「返信」される。そんなニワンゴのサービスが1月16日に開始されてから、しばらく経つ(1月16日の記事参照)。
ニワンゴの社長に就任した杉本誠司氏と、取締役の西村博之氏にその後の状況を聞いた。
ITmedia まずは、スタート直後の手ごたえを教えてほしい。会員は増えているか。
杉本 徐々に増えており、2月9日時点で1万5000人のエントリーがあった。半分とまではいかないが、そのうち数十パーセントがリピーターとなっている。1日10回近くメールのやりとりをしているようだ。これは、事前の予想と比べてもまずまずの手ごたえだ。
好評なのは、ニュースや乗換案内のサービス。小説のサービスも人気がある。ユーザーに聞いてみると、「便利に使える」「携帯を使った、ひまつぶしになる」ということだった。
ITmedia 実際に運営を開始してみて、トラブルなどはなかったか。
杉本 これまでのところ、大規模な障害はない。
西村 システム的にメールなので、多少レスポンスが遅れても気づかないというメリットはある。Webサーバなら、サイトにアクセスしようとして10秒レスポンスが遅れると「これはおかしい」となるが、メールならそのぐらいの差は気にならないので。
ただ、こちらのサーバはすぐにレスポンスを返しているのに、携帯キャリアのネットワークが遅延して30分後にメールが届いた、ということはあるようだ。もちろん、遅延がなくなるように利用できる対策は講じているが(2005年11月29日の記事参照)。
ITmedia サービスを使いにくいという声は。
杉本 (ユーザーとのメール送受信で行われる)操作のチュートリアルに改良の余地があるかな、とは思う。ただし、20代の女性10人程度にグループインタビューなどを実施してみると、簡単にサービスの説明をしただけでずっと携帯をいじっていた。
西村 たまにニワンゴの返信メールを「人が実際に返信している」と思い込んで、感想などを言ってくる人がいる。「面白かったです」とか(笑)。1日に2、3人だろうか。
これは自動返信なんですよ、と説明するのも何なので、そのままにしているが、ユーザーも何回か利用していると自動だと気づくようだ。
ITmedia 西村さんが、ニワンゴという組織でどのように動いているのかも興味深い。ニワンゴで働いてみての感想などはあるか。
西村 1人でやってきたので、(ニワンゴの親会社である)ドワンゴが「大企業だな」と感じる瞬間はある。1人でできるところを、なんで3人でやるんだろう……とか。
ただ、つきあいやすい会社であることは間違いない。変に縦割りの組織ではなくて、「これをやってほしいんだが」と頼むと(担当部署はこちらだとたらい回しにされず)ほいほいやってくれる。
ITmedia 米Googleが、ニワンゴとよく似た携帯メールベースの検索サービスを開始した(2005年12月15日の記事参照)。これはニワンゴにとって、脅威なのではないか。
西村 Googleのサービス開始は、むしろありがたい。携帯メールでの検索、というサービスの存在をユーザー認知させることができるので。
それに、GoogleのサービスはあくまでPCのカルチャーの延長線上にあり、ニワンゴが取っているユーザーとの対話路線とは本質的に異なる。PCなら絞り込み検索などは当たり前だが、携帯メールだとこれが面倒くさく感じられるもので、(返信メールに対してリアクションを起こしていく)ニワンゴのやり方のほうが効率がいい。
ITmedia ニワンゴは、広告モデルの事業だと聞いている。こちらの調子はどうか。
杉本 まだ自社広告を配信している段階で、テストケースだ。クリックレートはどうなるか、どんなパフォーマンスかチェックしている。代理店を使って広告をとっていくことになるので、これという決まったスタイルを決めなければならないのだが、まだベストチョイスが見えない状況だ。
代理店向けの「メディアデータ」というものはまだ出ていないが、しかし問い合わせは入っている。どのタイミングで本格的に広告配信を開始するかは、現状でもよく聞いていただいている。
(文中敬称略)
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