欧州でも採用が広まりつつある海外iモードだが、まだまだ一般に普及しているとは言いにくい。普及の鍵の1つは対応機種数だ。
NokiaやMotorolaなどの大手メーカーから中小メーカーまでを合わせると、年間で100機種以上が発売されるWAP端末に比べると、海外のiモード対応端末は数機種から多くても10機種以下だ。また供給メーカーは日系が中心だが、欧州では日本メーカーのネームバリューは低い。メジャーメーカーが揃うWAP陣営に比べると、iモードは販売戦略上でも優位に立ちにくいのが現状だ。そのため最近ではSamsungやLGなど、シェア上位の大手メーカー製iモード端末を採用する事業者も増えている。
そんな中、欧州市場にiモード携帯を供給する地元のメーカーがある。スペインのGrundig Mobileだ。同社はスペインでiモード事業を展開しているTelefonica向けに2年前からiモード端末を納入している。年間1、2機種と数は少ないが、地元メーカーの強みもあり着々と売り上げを伸ばしているという。
同社は、この2年間でGSM方式に対応したiモード端末「G342i」「G402i」「G410i」の3機種をリリースしている。さらに2005年12月には、同社初となるW-CDMA対応の「G600i」を発売。今回のCeBITではW-CDMA対応2機種目となる「G550i」を発表した。
ブースではGSM/WAP対応端末もいくつか展示していたが、同社マーケティングマネージャーのジャクリーン・カッシーニ氏は、「当社の主力はあくまでもiモード対応端末」と言い切る。その背景には、小さいメーカーが海外市場で生き残るためには他社との差別化が必要、という事情がある。“規模の経済”が重要になってきている携帯端末業界だが(3月2日の記事参照)、数メーカーしか手がけていないiモード端末市場ならば、まだまだ参入チャンスが残されている。同じスペイン国内の最大携帯事業者であるTelefonicaと強力なパートナーシップを組むことで、タイムリーな端末の開発・供給体制を構築することも可能にしている。
せっかく開発したW-CDMA端末なのだから、WAP対応にして他国の事業者──例えばVodafoneやT-Mobileなどに販売しないのか、という質問に対しても、「WAP対応のW-CDMA端末は現時点では全く考えていない」(同氏)と言う。iモードに特化することで「Grundig Mobile=iモード端末メーカー」との地位を確立し、今後ほかのiモード事業者へも端末採用を働きかけたいという狙いがある。事実、同社ブースにはフランス向けに採用となった「G500i」が展示されていた。将来、ヨーロッパ各国で同社端末を見かけるようになっているかもしれない。
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