音楽携帯としての実力は──ドコモ「Music Porter II」音楽携帯の春モデルを試す(前編)(2/3 ページ)

» 2006年03月22日 18時10分 公開
[北島武仁,ITmedia]

PC用音楽管理ソフト「BeatJam」の使い勝手は

 まず、PCと携帯電話間で音楽データの橋渡しをする付属ソフトからチェックしていこう。

Photo 「BeatJam 2006 SE」のメイン画面。ポップなデザインとシンプルな構成は親しみやすいイメージ

 ジャストシステムのBeatJamシリーズは、初登場が1999年(当時はMP3ツール)と国産ソフトとしては“老舗”のブランド。Music Porter IIに付属するのは最新版の「BeatJam 2006 SE」で、2005年末に従来品からのアップデートまたはOEM向けという形で配布が始まったバージョンだ。サポートするファイル形式はOpenMG Audio(ATRAC3/ATRAC3plus/PCM)/MP3/WMA/WAVで、AACには対応していない。なお、MP3は、BeatJamによる転送時にOpenMGで著作権保護されたMP3形式に変換される。

 端末側のMusic Porter IIは、外部メモリスロットとしてメモリースティック PRO Duoを採用しており、音楽プレーヤー機能はOpenMG Audio形式のATRAC3/ATRAC3plus/MP3に対応している。

Photo 機能の切替を行う「パネルメニュー」。ショートカットメニュー的な役割で、メイン画面左上のボタンを押すと表示される。カーソルを合わせていないときは、色がほかの背景と同じグレーなのであまり目立たない
Photo ATRAC3/ATRAC3plusのほかMP3の再生にも対応。MP3データは端末への転送時に著作権保護された形に変換

 操作の基本的な流れは、左上にある「パネルメニュー」ボタンで実行したい動作を選んで機能/画面を切り替えつつ、右側に並ぶボタンで機能を実行していくスタイル。分かってしまえばシンプルにまとまった流れではあるものの、筆者は初めて見たときに、パネルメニューボタンの存在自体に気付かなかった。ここは見た目や配列を工夫して、もう少し分かりやすい見え方にしてほしいところだ。

Photo MP3とWMAについてはフォーマット変換も含めたインポートが可能。AAC非対応なのでiTunesからの乗り換えは、やや難あり

 すでにPC内にある音楽コンテンツライブラリーの移行は、MP3やWMAのインポートに対応し、指定したフォーマットおよび品質でのファイル自動変換(MP3/WMA→ATRAC3/ATRAC3plus/MP3)が可能。WMAやMP3系のプレーヤーを使っている人ならこれで十分だが、AACのインポートには対応していないので、iPod+iTunesユーザーの乗り換えはかなり手間がかかる。

Photo 対応機器は豊富でフォーマット/音質はかなり細かく設定できる。設定が面倒な人は「転送する機器を選択する」ボタンをクリックして機器を選べば(画面右)、その機器(今回の場合はMusic Porter II)に最適な設定を指示してくれる

 ライブラリ管理機能はシンプルだ。一覧/アーティスト別/アルバム別/ジャンル別の表示機能と検索機能を備え、再生回数/外部機器への転送回数のカウントなどの履歴機能も持っているが、iTunesなどにあるような評価機能は備えていない。検索機能は、曲名やアーティスト名などをキーワードとする検索のほか、履歴機能や複数のキーワードを組み合わせた絞り込み検索、検索キーワードの保存が可能。自動的にプレイリストを生成することはできないものの、検索結果からプレイリストを作成するのは比較的容易だ。絞り込んだ結果を表示した状態で「プレイリストに追加」を実行すればいい。

Photo 転送モードの画面。ウィンドウの右側にPCに接続されている転送先のデバイスの内容が表示される。自動転送や同期機能はないが、操作自体は単純で簡単

 BeatJamから携帯電話への転送は、転送ボタンを押して転送画面に切り替えて行なう。PCと携帯を接続すると自動で転送が始まる自動転送/同期のような機能は備えていない。ポータブルオーディオプレーヤーでは多くの製品(プレーヤー+管理ソフト)が取り入れている自動転送/同期機能だが、音楽携帯の世界ではまだ対応が進んでいないようだ。

音楽専用の操作ボタン搭載で使い勝手は良好

 Music Porter IIの音楽プレーヤー機能を起動する方法は(1)メニューの第一階層にある「オーディオ/ビジュアル」ボタンを押す (2)(端末を閉じた状態で)背面中央キーの長押し(3)マイク付きリモコンの再生キーの長押し (4)右側面の「TASK」キーで「オーディオビジュアル」→「ミュージックプレイヤー」を選択 の4種から選べる(初期状態の場合)。プレーヤー機能の操作は、端末を開いた状態ではテンキーとソフトキー、閉じた状態では背面に3つ並んだ操作専用ボタンで行う。端末をカバンやポケットに入れたままの状態なら、マイク付きリモコンを使って操作可能だ。

Photo 背面に音楽操作専用ボタンを搭載。液晶画面には再生中の曲名が表示される(左)。「TASK」キーを長押しすると「外部キーロック」がかかり、音楽操作用ボタンや側面ボタンの誤動作を防げる
Photo 付属のマイク付きリモコンを使えば、音量調整、前後曲へのスキップ、再生、停止などの音楽関連の操作や発話/終話操作を手元で行える
Photo 「Music Player」の画面(左)。再生画面ではコーデックやビットレートの状況を確認できる詳細表示も選べる(右)

 ただ、プレーヤー自体の音楽機能はそれほど強力なものではない。再生機能各種と曲のグループ分け、プレイリスト作成、イコライザーを備える程度で、iPodをはじめとする最新のオーディオプレーヤーや、次回で紹介するW41CAに比べると機能はさほど多くない。背面に音楽操作専用ボタンを備えるなど、音楽携帯として使いやすい操作体系を備えているだけに、機能面での差別化が少ない点が惜しまれる。

Photo 設定メニューを表示したところ。6種類のイコライザー(サウンド設定)、5種の再生モード、リピート機能、電源管理などが設定できるが、プレイリスト編集や端末上でのお気に入り設定といったものはない

 音楽を連続20時間再生可能な点は、ほかの音楽携帯や小型音楽プレーヤーと比べた場合のアドバンテージになるだろう。また、マルチタスクを生かしたBGM再生モード(音楽を聴きながらメールやiモードを使用することが可能)も、携帯本来の使い方とオーディオプレーヤー機能を共存させるべく上手くまとめられており、“1台の携帯で2つの異なるデバイスを兼ねる”という点はクリアしている。

  • 主な音楽デバイスの最大連続再生時間
端末 最大連続再生時間
Music Porter II 約20時間
iPod(ビデオ対応) 約20時間
iPod nano 約14時間
W41T 約8時間(イヤホン利用時)
neon 約8時間(イヤホン利用時)
W41K 約8時間(イヤホン利用時)
803T 約7時間

 長時間のバッテリー駆動、リモコンや液晶を開けなくても操作できるボタン群など、ポータブルオーディオプレーヤーの使い勝手に迫るハードウェアに仕上がっているが、内蔵プレーヤー機能やPC連携、管理ソフトの使い勝手は、業界シェアトップのiPod(+iTunes)には及ばない点も多い。

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