切手大のエリアに技術陣の汗と涙──ワンセグ携帯「905SH」開発の舞台裏(2/2 ページ)

» 2006年03月31日 05時31分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
前のページへ 1|2       

舞台裏がぎりぎりのところまで迫っている──サイクロイド型ボディ

 905SHが採用したサイクロイド型携帯は、物理などの用語であるサイクロイドに由来していると大木氏。「サイクロイドとは、タイヤのような円状のものが地面を転がるときに、任意の円周上の1点がたどる軌跡のこと。905SHは、中心となる背面の1つの角が一直線上で動き、ほかの3つの角がカーブを描いて動く仕組み」

Photo 中心となるのは、背面に開いた四角い穴を通過中の角。ほかの3点がカーブを描く
複雑な機構を取り入れながらも、背面側は薄く仕上げている。強度も確保しなければならず、技術陣が相当がんばってくれたと大木氏

 回転部分の機構は、背面のボーダフォンロゴあたりの小さなエリアに集約されており、「回転中のどの瞬間においてもどこから見ても、絶対に機構部分が見えないようにしている」のが苦労した点だという。

 「背面にデザインと機構的な特徴をアピールするための穴を開けているため、ただでさえ小さな舞台裏(隠すべき機構部分)がさらに小さくなってしまった。実際、この四角いエリアのほんのぎりぎりまでメカニックの構成が迫っている。回転の軌跡の限られた範囲に可動部を入れ込むのは本当に大変で、ここには技術陣の汗と涙のドラマが詰まっている」(大木氏)

 905SHは、一見普通の折りたたみ携帯に見える機構設計のため、液晶部分が回転することをデザインで分かってもらう必要があったと大木氏は振り返る。そのために取り入れたのが、シルバーの“C型ライン”だ。端末を側面から見ると、Cの字のように見えることからこう呼ばれているという。

 「閉じたときに、回転機構があることが伝わるようにと取り入れた。これがあると“次にこう開いて、何かある”という期待感を感じてもらえる。デザインが機能を伝える役割を担っている」(大木氏)

Photo シルバーの部分が“C型ライン”。一般的な携帯電話は2枚構成になっているが、「普通の構成にすると機能が見た目で伝わらない」ことから3枚構成にしている

高級アクセサリーをイメージした素材の質感とデザイン

 機構部分だけでなく、素材感やデザインにもこだわっている。イメージしたのは高級アクセサリー。カラーリングされた背面部分は布地の折り目の不均一さを表現しており、ラインの太さや幅が異なっている。ホワイトには、虹色に色相が変わる偏光パール塗装が施され、不均一なラインと相まって、見る角度により緑がかったブルーやピンクに見えるという。

 長方形にくりぬかれた背面の金属調の部分は、ベルトのバックルをイメージしている。「ここをくりぬくと、液晶を回転させたときに角が通過するのが分かると同時に、回転することのインパクトを伝えられる」

 905SHには、見た目の静かな佇まいからは想像がつかないくらい多くの技術的チャレンジが詰め込まれている。「テクノロジーを感じさせないところにテクノロジーを感していただけたらと思っている」(大木氏)

Photo 着信ランプはさりげなくヒンジ部に装備。赤外線ポートもヒンジ部にある
FeliCaアンテナはカメラ部付近に装備。アンテナは伸ばしていないときには目立たないようデザインしたという。なお底面部分はまだ開発途上のため、製品版ではデザインが変わる可能性もある

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月26日 更新
  1. 「0.2秒で冷却」をうたうペルチェ素子搭載の腰掛けファン Amazonで53%オフ (2026年07月24日)
  2. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  3. 330円で手に入る「足元灯」「非常灯」 充電式になって利便性向上 (2026年07月25日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. 従来の健康保険証は7月31日で利用不可に 8月1日以降は「マイナ保険証」の利用を (2026年07月24日)
  6. サムスンが「Galaxy Z Fold8」で横長折りたたみを投入する理由 AIの進化にもマッチ、“iPhone包囲網”も万全か (2026年07月25日)
  7. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  8. モトローラから新しいミドルレンジスマホ「moto g37」シリーズ登場 ソフトバンク、楽天モバイル、ドコモも取り扱い (2026年07月24日)
  9. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  10. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー