4月14日、全国一斉に「SIMPURE L」がリリースされた。韓LG電子が初めて開発したFOMA端末であり、また価格を抑えたSIMPUREシリーズの第1号という記念碑的な端末だが、完成までには日韓それぞれのスタッフの苦労があったようだ。
開発に携わったNTTドコモとLG電子の社員に、互いの印象も交えて開発までの道のりを話してもらった。
LG電子常務の安長石氏は、SIMPURE Lの開発が決まったのは2004年のことだと振り返る。LG電子は既に家電分野で日本市場への参入を果たしていたが、ブランド的にはまだまだ弱かった。そこで携帯分野でも参入して、W-CDMAのマーケットで戦ってみたい――という思いがあったという。
ドコモと意見交換をした後、2カ月がたち2005年の初めになって、LG電子の研究所所長とNTTドコモプロダクト部の永田清人氏の間で「LG電子製のドコモ端末を出そう」という合意がなされた。そこから1年がたち、SIMPURE Lというかたちで製品が世に出ることになったのだという。
SIMPURE Lは、開発プラットフォーム自体はグローバルスタンダードのLCDモジュールやソフトウェアを利用している。しかし、端末デザインなどは“ベースになるモデル”が特にあるわけではなく、ゼロから作り上げたものだ。
ドコモのプロダクト部、渋谷大介氏はその開発スピードに驚かされたと話す。「『かたちもない』状態から、1年ちょっとでここまで作り上げた。問題が見つかってもリカバリーが早く、国内のほかのメーカーと比較してもすぐに直してくれる。だからこの時期に出せた」
安氏は「LG電子では『朝言われたことは、その日のうちに答えを出せ』と言われている」と笑う。
「私のレベルで決断できることはすぐにやるし、私の権限を越えることなら社長にいえばすぐ答えが出る。(何か答えを出さなければならないことが起きると)徹夜して、次の日の朝には提出する……ということもある」
逆に、LG電子はドコモにどんな印象を持ったか。安氏が言及したのは「品質に対して要求する水準の高さ」だ。
LG電子東京デザイン分所の分所長 崔晋海氏は、ドコモの厳しさはスペック以外の面にあったと話す。「例えば端末の表面処理の部分。水圧転写の技術で塗装を行っているが、これが『上から下まで均一でないといけない』といったようなポイントだ。ほかにも折りたたみを開け閉めするときのヒンジの質感や、パーツの合わせ部分の細かさなど、高い完成度を求められる。デザイナーとして勉強になった」
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