ワンセグケータイ「W41H」に隠された秘密:開発者に聞く「W41H」(デザイン・機構編)(2/2 ページ)

» 2006年04月22日 22時00分 公開
[園部修,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 外観をテレビのようにするために、2軸ヒンジも新規に開発した。液晶を表に出して横向きにしたとき、ヒンジ部が見えてしまってはテレビっぽくない。表面をフラットにし、なおかつ画面の左右にスピーカーがあるかのようなデザイン(実際には、スピーカーはヒンジ側にしか搭載されていない)を実現する必要があった。そのため、液晶部が大きく動く、「PENCK」と同じような構造のヒンジに回転機構を組み合わせた。

 また上杉氏は「液晶ディスプレイ部に採用した極薄の『2色成形』は我々の新技術」といって、ディスプレイの外装部分を外したものを見せてくれた。通常の2色成形(ダブルモールド)は、1ミリから場合によっては数ミリの厚さのクリアパーツになるが、W41Hの外装に採用した2色成形パーツは透明層の厚さが0.5ミリしかない。「この薄い2色成形によって、通常の塗装では出せない深みを持たせることができた。従来使用していたUVトップコートでは厚さが10ミクロンにしかならないが、W41Hの外装には奥行きがある」

※初出時に「2色成形パーツは厚さが0.5ミリしかない」と記載していましたが、厚さが0.5ミリなのは2色成形パーツの透明層で、パーツ自体の厚みは1ミリあります。おわびして訂正します。(4/24 11:25 Update)

 この2色成形の技術は、ディスプレイをより大きく見せるという役割も果たしている。ディスプレイ面には、保護用のパネルなどを別途取り付けることが多いが、W41Hでは2色成形のパーツをうまく利用して、ディスプレイ面全体をフラットに仕上げている。

PhotoPhoto ディスプレイ部の外装には、厚さを0.5ミリに抑えた2色成形パーツを採用しているのがポイント。これにより、コーティングだけでは難しい奥行き感を実現した。さらにディスプレイ表面をフラットに仕上げることが可能になり、ディスプレイ自体をより大きく見せることに成功している。左が表側、右が裏側から見た様子
Photo 2色成形の技術自体は以前からあったもの。古くはWindows CEを搭載したハンドヘルドPC、「PERSONA」(ペルソナ)などでも採用されていた

各所に隠された放熱の仕組み

 前述したとおり、ボディサイズをある程度小さくしなくてはならなかった関係で、端末の内部には所狭しと部品が詰め込まれている。またワンセグチューナーは、一般的な携帯電話より電力消費量が多いパーツだ。消費電力の大きさは、発熱の大きさにつながる。機器が正常に動作するために、またユーザーが使用中に不快感を覚えないようにするために、内部の放熱対策にも頭を悩ませたという。

 上杉氏は「発熱を抑えるため、実はヒンジの部分にラジエーターの役目を果たすパーツを用意している」と端末を分解したモデルを見せてくれた。下の写真を見ると分かるとおり、ボディー内のマグネシウムフレームが、ヒンジのところだけ外側に露出している。

 このほか、ダイヤルキーの下にマイクのような穴が空いているが、マイクは折りたたみ時も通話できるようヒンジ寄りに設けてある。「この穴も通気用として開けている」のだと上杉氏はいう。もう1カ所、ロッドアンテナの格納部にも通気のためのスリットがある。これらの工夫を凝らすことで、基準をクリアするレベルに端末の発熱量を抑えた。

PhotoPhoto ヒンジで陰になるところに、内部のマグネシウムフレームの一部が露出している(左)。内部の熱を効率よく外に放出し、発熱を抑えるための仕掛けだ。マグネシウムフレームは、内部の基板を取り囲むような形状になっている(右)
PhotoPhoto 一見通話用のマイクと見まがうが、こちらは通気用の穴となっている(左)。ロッドアンテナの格納部にも通気用のスリットが3本開いている(右)

 もちろん工夫はこれだけにとどまらない。W41Hの最大の特徴であるワンセグ視聴機能は、アンテナからソフトウェアに至るまで、ユーザーが快適に使えるように、細部にまでこだわって作り込まれている。こちらについては次回改めて紹介する(続く)。

Photo W41Hの秘密について話してくれた開発者たち。左からカシオ日立モバイルコミュニケーションズの開発本部ハード設計グループリーダー長谷川修氏、開発設計本部機構設計グループチームリーダー上杉雅樹氏、開発設計本部ソフト設計グループ後藤悦宏氏、戦略推進グループ上島敦彦氏、日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ製品開発事業部携帯電話本部営業部主任榎本玲子氏
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月26日 更新
  1. 「Androidのマイナンバーカード」がスタートするもフル機能対応機種が少ない件 ポイントは「StrongBox」という仕組み (2026年10月24日)
  2. ダイソーで1100円の「USB Type-C to HDMIケーブル」でスマホの画面をテレビに映すとどうなる? 対応機種なら試してみる価値あり (2026年10月24日)
  3. 「iPhone Duo」はLINEもポケモンGOも“黒い”余白だらけ? 日本の定番アプリは未対応が多く (2026年10月23日)
  4. 進化した「Siri AI」で感じた、iPhoneの操作を一変させる実力 「AI出遅れ」の汚名返上なるか (2026年10月24日)
  5. デジタル庁が「Androidのマイナンバーカード」対応機種を公表 属性証明機能を使える機種は限定的 (2026年10月19日)
  6. iPhone Duoを使って痛感した「Face ID」のありがたさ 充電スタンドに置いたまま通知が見られない不便さに苦しむ (2026年10月24日)
  7. ダイソーで330円の「人感・明暗センサーLEDバーライト(Type-C)」が意外と便利 1人暮らしの帰宅時や非常灯に便利  (2026年07月18日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. きょう発売の「iPhone Duo」、Apple 表参道でゲットしてきた 早速開封レポート (2026年10月23日)
  10. 【ニトリ】599円の「マルチスタンド」 スマホやタブレットのキッチン利用も便利 (2026年10月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー