「文字入力には心を痛めていた」――NECが語る「N902iS」の改善点(2/3 ページ)

» 2006年05月25日 04時24分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 杉原氏は、SIMPURE Nは機能を削ぎ落としたモデルだけに、ほかの端末とはプラットフォームが異なるのだと明かす。このため、従来の“N流文字入力ソフト”を入れ込むことが、時間的にも労力的にも難しかった。ATOKを入れたのはそのような特殊な事情があったからであり、通常のNEC端末では従来路線が継続されるようだ。

 「NECの日本語変換はダメという声も聞く。しかしNECはワープロも開発しており、辞書など根幹になる部分はいいものを積んでいる。UI(ユーザーインタフェース)を強化すれば、他社より優れたものができるはずだ。(既存の)プラットフォームを移植することで工数も少なくてすむので、品質を保てる」

PhotoPhoto (左)絵文字や顔文字の候補も、100個プリインストールされている(右)細かいところでは、英語でT9入力も可能になった

操作の速さは? 細かいポイントで向上

 NECのFOMAといえば、動作がそれほどきびきびしていないという批判もあった。だが「N902i」になってこれは大分改善され(2005年10月28日の記事参照)、さほどストレスを感じずにすむレベルになったと言われている。

 N902iSでも、操作感はN902iとさほど変わらないはずだと杉原氏は話す。理由は、Linuxベースのプラットフォームが前回から変わっていないからだ。基本性能は変わらないものの、ソフトの部分で改善はなされているという。大きく変わったのはスクロール速度だ。

 「フルブラウザでは携帯画面に表示される領域が少ないので、スクロールの早さが重要になる。N902iSではN902iより素早くスクロール可能で、快適にWeb閲覧できる」。iモードブラウザのスクロールも同様に高速化されており、手元にあったN902iと比べたところ確かに目に見えて速くなっていた。

なぜ、象なのか

 N902iSのカラーリングは、「ピスタッシュグリーン」などなかなか冒険した印象がある。この点を杉原氏に聞くと「グリーンは、社内でも本当にいろいろもめた」と明かす。やはり反対派もいたようだ。

 背景には、NECの端末には遊び心が少なかったのではないか、という思いがあると杉原氏。2006年のファッションのカラートレンドを調査していくと、クリーム色のような黄色や、ライトグリーンがトレンドだという結果が出ていた。そこで“サファリの草原のイメージ”をモチーフにして、グリーンのカラーデザインを選択したという。

 「ドコモ側とも相談して、グリーンをアイキャッチ(目を引くもの)として用意することにした。これでN902iSを押し出すことができれば、結果的にユーザーに購入される色がほかに流れてもいいという判断だ」。実際に出来上がりを見ると、社内でも「結構いいな」という反応が多かったという。

 ちなみに、ピスタッシュグリーンの表面には、小さな象がプリントされている。メニュー画面も象で、アイコンを選択すると象が動くというアニメーションも付いている。なぜ、犬やネコでなく象だったのか? という理由は「男女どちらでも親しみやすい」ということもあるが、実はもう1つ理由がある。

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