目指したのは“使うとクセになる快感”──「D902iS」

» 2006年06月05日 15時19分 公開
[青山祐介,ITmedia]

 2.8インチの大画面とスリムなボディでブレイクした、三菱電機製のスライド携帯「D902i」。そのセカンドモデルに位置付けられる「D902iS」では、大画面+スリムボディを継承しつつ、新機構の「スピードセレクター」を搭載し、使いやすさの向上が図られた。

 スピードセレクターを搭載した経緯や実装上の工夫、そして三菱電機が目指す携帯電話の姿について、三菱電機NTT事業部の神田秀昭課長と荻田良平担当課長に聞いた。

Photo 4色のボディカラーから選べる「D902iS」

難しかったのはパラメーターの微調整──スピードセレクター

 D902iSの開発に当たってポイントとなったのは、“大画面をもっと使いやすくするためにどんなアプローチがあるのか”を考えることだったと荻田氏は振り返る。「大画面になって見やすさは向上したが、それをいかに進化させるか、使い勝手をいかに向上させるかが課題だった」。それをつきつめる中で出てきたのが、“回転する十字キー”こと、「スピードセレクター」の搭載だったという。

 回転する十字キーは以前、ソニー・エリクソンがPDC端末の「SO505iS」に「ディスクジョグ」という機能として搭載したことがある(2003年11月の記事参照)。ディスクジョグとスピードセレクターの違いは、回転部が十字キーを兼ねるか否か。端末の薄さや大きさを前モデルと同等に抑えたいと考えた開発陣は、十字キーが方向キーを兼ねる仕組みにすることを選んだ。

Photo 左がD902iSのスピードセレクター。右がSO505iSのディスクジョグ。スピードセレクターは1つのデバイスが十字キーと方向キーを兼ねている

 “回転”と“上下左右の選択”という異なる操作を両立させるために苦労したのは、両方ともうまく動作するパラメーターを調整する作業だったと荻田氏。

 スピードセレクターを回している最中に十字方向に押されてしまうことがないよう、回転荷重を変えたものを何パターンも用意した。「スピードセレクターが回転しすぎるのを防ぐ接点をいくつにするのか、スピードセレクター自体の大きさはどれくらいだと回しやすいのか──といったことも含め、パラメーターをいろいろな方向性に振ったパターンを作成してユーザービリティ調査を行った」。

 またスピードセレクターの実装にあたっては、どう組み込むのがベストなのかも検討を重ねたという。「スピードセレクターの回転を制御するICは、セレクターにICごと組み込んだ形の“モジュール”にするという考えもあった。しかし、D902iSでは小型化を優先するためICは基板上に実装して操作系と分離し、いかに薄くできるかということを追求した」。

 スピードセレクターの搭載で目指したのは、「“使うとクセになる”操作感覚」だという。「例えば、PCのマウスに付いているスクロールホイール。回転に合わせて画面がスムーズにスクロールするのがとても快適でクセになる。狙ったのはこれと同じような感覚。大画面のD902iになって、画面の上から下へのカーソルの移動量が多くなったがために操作が大変になってしまったが、D902iSではグルッと回せばカーソルがすばやく移動する」。スピードセレクターで“手癖になるような操作感の気持ちよさ”を実現できたと荻田氏は胸を張る。「これまでは十字キーの操作でチクチクやっていたiモードWebや長文メールのスクロールが、クルッと回せばすむ」

Photo メニューは、スピードセレクターが生きるリスト表示のものを用意(左)。音量調整もスピードセレクターならツマミを回す感覚で行える(中)。回転方向はユーザーの好みで変更できる(右)
Photo カメラモードのズームもスピードセレクターで操作できる。
Photo 待受時の回転で呼び出せる機能は、メニューのほかに電話帳やスケジュールにも設定できる(左)。メール入力時は、かな入力後にスピードセレクターを回すと候補選択ウィンドウに入れる。候補の選択も回転と十字キーを組み合わせて操作できる

光る決定キーで意外性と情緒を表現

 ボディカラーも、ポップでかわいい雰囲気のD902iから一転、素材の質感にこだわった大人の雰囲気を持つ携帯へと変化した。コンセプトカラーのマゼンタは、ブラックとのツートンにすることで艶やかな大人の雰囲気を出せたという自慢のカラーリングだ。「ストーン(ブラック)は渋めのつや消し仕上げ。サファイア(ブルー)は光の加減によってホワイトがかって見えるような塗装を施している」。素材感についても、マゼンタはアルマイトを、プラチナはアルミをイメージさせるような表面処理で仕上げている。

 表にソフトキーや十字キー、決定キーがあることから「機能が目立ってごちゃごちゃとした顔になりがち」なスライドデザインの課題にも取り組み、面になじむようパーツをデザインすることですっきり見せていると荻田氏。ただ機能のハイライトであるスピードセレクターは、ワンポイントのアクセントになるよう目立たせており、決定キーを光らせることで、情緒的で意外性のある効果を狙ったという。

Photo スピードセレクター以外のボタン類は、すべてボディ表面と一体化したデザイン
Photo 光るセンターキー。スピードセレクター利用時の光り方は36通りから選べる

買ったあとに効いてくるメリットを大事にしたい

 D902iSは、三菱電機が手掛けた4代目のスライドFOMAで、代替わりするたびに着実にファンを増やしてきた。3代目となるD902iは、販売ランキングでも常にトップ10圏内をキープするなど、久々のヒット作となっている。

 そんな中で、開発陣が重要視しているのは「買ったあとに、どれだけ満足してもらえるか」だという。「買う前よりも買った後に効いてくるメリットを大切にしたいと考えており、D902iSではスピードセレクターがそれを象徴する存在。大画面とスピードセレクターの組み合わせをバリバリ使ってもらいたい。今後も、買う前にアピールできる機能だけではなく、買った後の機能にも注力していく」(神田氏)

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