“おもちゃ”ではなく“アメ”で勝負――イー・モバイル千本CEOCEATEC JAPAN 2006

» 2006年10月06日 23時10分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 イー・アクセスの代表取締役会長 兼 CEOの千本倖生氏が、CEATEC JAPAN 2006で基調講演を行った。同氏が代表取締役会長兼CEOを務めるイー・モバイルは、2007年3月からデータ通信サービスを、2008年3月から音声通話サービスを開始する予定だ。

 「手の内はまだ明かしません。会場に敵方に通じてる人がいるかもしれないし(笑)」と、端末は従来のコンセプトモデル(2005年12月7日の記事参照)のみを紹介するにとどめ、現在の携帯電話事業の問題点と新規参入の意気込みを語った。

これが最後のビジネス、最後の挑戦。

photo イー・アクセス代表取締役会長 兼 CEO 千本倖生氏

 「(イー・モバイルは)私が60歳を過ぎて立ち上げた6つ目の会社。おそらく人生最後のビジネスになるだろう。日本の通信市場で行う最後のチャレンジだ」

 千本氏は最初に、自身のキャリアが日本の通信市場への新規参入の歴史であり、価格引き下げなどの変革をもたらしてきたことを紹介。同氏はDDIの設立により市外電話料金を引き下げ、イー・アクセスのADSLホールセール販売でブロードバンドを普及させてきた。千本氏は「どれも既存業者によって“異常”ともいえるコストで提供されていたサービスを、新規参入により価格是正を行ってきた」と話す。

 そして現在、“異常”に高価な通信サービスとなっているのが携帯市場であり、ここに新規参入し変革を起こすと明言。「FTTH・ADSL・CATVなど、ブロードバンド市場規模は8000億円で、参入している会社の数は約300社。一方の携帯事業は8兆8000億円の市場規模で、利用者は9350万人であるのに、事業者はわずかに3つという寡占状態。ユーザーが損をしている状態を是正したい」と述べた。

おもちゃの議論はもうやめよう

 千本氏は講演の中で、「日本で携帯の話題といえば、おサイフケータイだ着メロだと、グリコでいえばおまけのおもちゃの話題ばかりになっている。アメを取り上げずにおもちゃの話だけで、日本の携帯は世界一だ、コンテンツは世界一だと論じても意味がない。おもちゃの議論はもうやめよう」と、本質的な価値ではなく、付加価値を重視する日本の携帯サービスを批判した。

 同氏は、主要国の中で、日本のARPU(ユーザーあたりの月間電気通信事業収入)が世界一高いにもかかわらず、MOU(ユーザー毎の月間利用時間)は最低で、通話料金の高さが利用・通話時間の短さにつながっていると指摘。コアサービスであるべき通話サービスが、世界からみて劣っている実例とした。

 また、世界的に見て携帯事業が爆発的に大きくなっている点に触れ、「中国やインドではNTTドコモ1社に匹敵する規模でユーザーが増えている。台湾のCompalは、日本のメーカーが生産するすべての端末よりも多い携帯を生産し、韓Samsungの携帯事業は黒字で米Motorolaの利益率は30%だという。では、日本のメーカーはどうかというと、残念ながらみんな赤字。かろうじてシャープが黒字になっているくらいで、世界シェアは数%のレベル。メーカーは、国内キャリアが打ち出す新サービスに応えるため、国内だけの高機能な携帯開発を余儀なくされている。これでは、世界に打って出られるわけがない」と、国内メーカーが世界的な携帯ビジネスに乗り切れていない実情を説明した。

イー・モバイル参入で、オープンな環境に

 こうした問題は構造的なものであるとし、「日本の携帯市場が、参入するにも撤退するにも中途半端な大きさであることも事実。しかし、それ以上に閉鎖的な環境であることが問題だ。だれも入ってこれないし、だれも出て行けない。今、オープンにして国際競争力をつけないと、日本(の携帯事業)は終わり。全世界の10分の1、100分の1のレベルで足の引っ張り合いをしている場合ではない」と語った。

 さらに、規模だけなく技術的な面に関しても、同社が基地局施設のネットワークサプライヤーに採用した中国Huaweiの例を挙げ、「基地局を導入する際、いろいろなメーカーを見て話を聞いた。プライマリーベンダーとしてスウェーデンのEricssonを選び、セカンダリーベンダーとしてHuaweiを使うことにした。中国のメーカーということで、皆さんがどう思われるか分からないが、あなどってはいけない。もう製造コストが低いだけの“世界の工場”ではない。HuaweiはいずれSamsungを越え、Motorolaやlucentを超える技術力を持つだろう。オープンな技術に注目し、優秀な人材を集積しないと日本は飲み込まれる」とし、「イー・モバイルの参入で、オープンでグローバルなビジネスを携帯市場に持ち込み、携帯メーカーに真の国際競争力をもたらせたい」との展望を示した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年05月15日 更新
  1. サイゼリヤは“折りたたみスマホお断り”なのか? セルフ注文画面が話題、真偽を実機で確かめた (2026年05月13日)
  2. なぜ? マクドナルド「巨大セルフ注文端末」に批判殺到の理由 UI/UXに価格表示まで……直面している課題とは (2026年05月14日)
  3. ドコモ、5G速度で首位も「一貫した品質」でなぜ最下位? auが10部門で受賞 Opensignal調査 (2026年05月14日)
  4. 大幅刷新の「iAEON」「AEON Pay」アプリは何が変わった? 使い分け方や便利な機能を解説 (2026年05月12日)
  5. KDDI松田社長「povoを楽天モバイルの副回線に」――自らアイデア例示 ローミングは26年9月で一区切り (2026年05月13日)
  6. 「駅のQRコードが読み取れない」――ネットに落胆の声 なぜ“デジタル時刻表”が裏目に? (2025年12月25日)
  7. IIJ谷脇社長、ドコモ回線問題について「キャリアとMVNOの原因切り分けが難しい」 IIJmioの値上げは予定なし (2026年05月14日)
  8. 楽天、MNO本格参入後に初の黒字化 三木谷会長「KDDIローミング終了」と「値上げ」は明言避ける (2026年05月15日)
  9. 楽天G三木谷氏「(モバイル)ユーザーに迷惑かけない」――KDDI側も理解 気になる2社ローミングの行方は (2026年05月14日)
  10. スマホ“最大規模の値上げ”はいつまで続く? 「1円スマホ」が存続危機、一方で影響を免れる中国メーカーも (2026年05月14日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年