ソフトバンクモバイルの2006年秋冬モデルとなる東芝製端末「810T」は、ボーダフォン時代の3Gコンバージェンスにほとんど縛られない、同社らしい操作性が復活したことが特徴の1つとなる端末だ。
かつて端末の操作性を可能な限り統一し、世界標準の使い勝手を目指した「ボーダフォン3Gコンバージェンス」と呼ぶ戦略があった。結果的には国内では不評に終わったが、この戦略からもっとも早く軌道修正をしはじめたのが東芝製端末「902T」だった。
なお、902T以降も3Gコンバージェンスの影響は皆無ではない状況が続いたが、東芝製の端末は2006年秋冬モデルの「910T」でUIをほぼ同社の2G端末に合わせこみ、今回試す810Tでは、さらに2G端末で好評だった機能も復活した。かつての2G端末で人気の高かったキャラクター「くーまん」がフル機能で搭載されたことも含めて、使い勝手と楽しさにこだわった端末に仕上がっている。
810Tは使い勝手を重視し、幅広いユーザー層に対応できる「フレンドリーケータイ」に位置付けられる。ただし、有効324万画素のカメラや音楽再生機能、GPS機能、ソフトバンクの新サービスの多くにも対応する多機能・高機能さもポイントである。
なお、W-CDMAに加えてトライバンドGSMにも対応する。国際ローミングに強い点はボーダフォン時代の流れをくんでいるが、残念ながら同社端末に搭載例が多いBluetoothには非対応。端末のターゲットとなるユーザー層がどれだけBluetoothを利用するかという点を考慮すると、やむを得ず事情に合わせた部分もあるのだろう。
厚さ20ミリのスリムなボディも最近の東芝製端末を象徴するものだ。ボーダフォン時代の3G端末は機能重視の端末が多かった。2006年夏モデルの「705T」よりも薄く、2G端末で好評だった「V502T」と同じ厚さとなっている。
ソフトバンクモバイルの2006年秋冬モデルは、とくにスリムデザインを特徴とする端末が多く登場した。810Tは、この点では確かに引きが薄い。しかし同機より薄い端末はエントリークラスの7xxシリーズであり、これらには同社の新サービスの多くやPCサイトブラウザも搭載されないなど、スリムゆえにトレードオフとなった機能も多い。
対して810Tは高機能な上に、au向け端末でも好評を得る、大きく押しやすいフレームレスのドームキーを採用。機能や操作性をほとんど犠牲にしない、“価値のある20ミリ”だといえる。
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