NTTドコモが3月に発表した「SIMPURE」シリーズは、ハイエンドの90xiとスタンダードな70xiシリーズに続く第3のFOMAラインアップ。シンプルで低価格という特徴で、エントリーモデルとしてムーバユーザーのFOMA移行を狙った端末だ。
初のSIMPUREとして発売された「SIMPURE N」「SIMPURE L」の2機種は、海外モデルがベースになっているということもあり、国際ローミングサービス「WORLD WING」に対応し、W-CDMA/GSM/GPRSの各ネットワークで利用可能で、“海外にも持って行ける2台目”需要を狙った端末と位置付けられていた(3月6日の記事参照)。
ところが、10月12日に発表されたSIMPURE Nの後継機「SIMPURE N1」は、FOMAエリアのみに対応し、WORLD WINGにも対応しない国内専用モデルとなった。FOMA最小・最軽量であるSIMPURE N1は、いったいどんなコンセプトの端末なのか? NEC モバイルターミナル事業本部の井上達哉氏に話を聞いた。
SIMPUREシリーズとしての前モデルであるSIMPURE Nは、発表当時最も小さいFOMA端末だった。後継モデルのSIMPURE N1も、FOMA最小モデルであり最軽量モデルでもある。シンプルでコンパクトなデザインを受け継いだSIMPURE N1だが、ハードウェアとしてはSIMPURE Nとはまったく別物になっているという。
「SIMPURE N1は初めから国内モデルとして企画されたモデルです。エントリーモデルですが、ベースになっているのは最新の90xiシリーズで、SIMPURE N1が初めて搭載する機能もあります。海外モデルを国内向けにしたSIMPURE Nとは根本的に別のハードウェアといえます」(井上氏)
SIMPURE Nは「グローバルかつ安価な端末」というドコモ側の意向もあり、海外向け端末をベースに開発されたものだ。日本語入力及び予測変換システムに、NEC製端末として初めてATOK+APOTを採用したのも、こうした背景があったからだ。
「ハードはグローバルでも、味付けは日本市場向け」(3月6日の記事参照)という性格のSIMPURE Nだが、絵文字に対応していない点や、待ち受け時間の短さ(W-CDMAモードで約350時間)などから、やや物足りなさを感じたのは否めない。こうしたウィークポイントを克服すべく、国内ユーザーのニーズにフォーカスして開発されたのがSIMPURE N1だ。
「これまでのSIMPUREシリーズはどちらも国際ローミングが行えましたから、“SIMPUREとは海外でも使えるシンプル携帯”というイメージがあったと思います。しかし、SIMPUREシリーズの最も大きな目標は、エントリー向けFOMAとしてムーバ端末からのマイグレーション(移行)の受け皿になるというものです。
当然、前モデルのSIMPURE Nもその点を踏まえた端末ですが、役割に徹し切れていなかった。そこでSIMPURE N1では、前モデルよりもスムーズにムーバから機種変更をしていただけるよう、国内専用モデルとして企画しました」(井上氏)
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