インセンティブモデルの是非、理想論だけで考えないでほしい──KDDIの小野寺氏

» 2007年01月31日 22時38分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 1月26日、決算発表で携帯電話のビジネスモデルについて言及した小野寺正社長

 総務省が「モバイルビジネス研究会」を立ち上げ、携帯電話のビジネスモデルについて再検討する動きが出ていることを受けて(記事1記事2参照)、KDDIの小野寺正社長が1月26日に開催した決算発表会見で意見を述べた。

 モバイルビジネス研究会は、携帯電話市場における競争の活性化や利用者の利益向上を目指して、現状のビジネスモデルを検証することを目的に開催される会合。検討課題の中には、日本市場で定着しているインセンティブ(販売奨励金)やSIMロックのあり方も含まれている。

諸外国と異なる2つの点を明確にしてほしい

 日本の携帯電話市場で通信キャリアは、端末価格と料金プランが密接な関わりを持つインセンティブモデルを採用している。インセンティブモデルとは、通信キャリアが端末を販売するにあたって販売奨励金を出し、元々の端末価格より購入しやすい価格で販売するモデル。値引きした端末の代金は、実質的には月々の基本使用料や通話料に上乗せされる形でユーザーが支払うことになる。

 小野寺氏は、インセンティブの善し悪しを議論する際に、なぜ日本が海外とは異なるビジネスモデルになったのかを考える必要があると説明。その理由は2つあるとした。

 1つは、通信料金に対して1年、2年という契約期間を設けられない点だ。「諸外国の料金プランを見ると、通信料金に対して1年とか2年という契約期間を決めたものがほとんどで、例えば“2年契約であれば、端末はこの値段、通信料はこの値段”という定め方ができる。しかし日本では郵政省の時代から、“契約期間を作ることはまかりならない”といわれており、どんな契約であろうが同じ料金にせざるを得なかった」(小野寺氏)

 もう1つは通信キャリアが端末価格をコントロールできない点だ。「アメリカとヨーロッパはショップによって多少値段の差があるが、多くの諸外国はオペレーターショップのストリートプライスはすべての店が同じ。つまりオペレーターが価格をコントロールしている。我々はこれで何度も痛い目にあっており、公正取引委員会から注意されている。端末価格は高いが通話料金は安い、端末価格は安いけれど通話料金が高いというものを作りたいというが、端末価格を誰がコントロールするのか」(同)

 小野寺氏はこの2つの要素が諸外国との大きな差であるとし、販売奨励金をなくす政策をとりたいなら、この2点をはっきりさせるべきだと主張。また、さまざまなビジネスモデルがあり得るが、メーカーや販売店に、急激な影響を与えるような方法をとるべきではないとも付け加えた。

 「いずれにしても、メーカーや販売店に対して急激な影響を与えるような方法をとった場合、われわれ携帯電話の事業者ではなく、事業者以外のメーカーや販売店に対する影響があまりにも大きいのではないか。軟着陸をどうするのかを考えずに理想論だけでやったら、日本の携帯電話産業そのものがおかしくなる可能性が充分にあると思う」(小野寺氏)

「コミッションがあるからワンセグが普及する」──小野寺氏

 キャリアのインセンティブ負担の大きさが通信料値下げの抑制につながることなどから、ネガティブな面をクローズアップされがちなインセンティブモデルだが、新サービスの普及を後押しし、新たなビジネスモデル創出のチャンスを広げていることも事実だ。

 最近の例として小野寺社長が挙げたのがワンセグだ。「ワンセグがこんなに普及するのも、われわれが入れているからで、入れなければ普及しない。コミッション(インセンティブ)があるから(本来は端末価格が高いワンセグ端末を、手ごろな値段で提供しているから)ワンセグが普及している」(小野寺氏)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月06日 更新
  1. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  2. UQ mobile「コミコミプランバリュー」にクレカ割を導入したワケ 背景にahamoとY!mobileの“板挟み”も (2026年07月04日)
  3. Suica、JRE POINTのキャンペーンまとめ【7月5日最新版】 最大1万ポイント還元や新幹線35%オフなど (2026年07月05日)
  4. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【7月4日最新版】 ポイント20%還元や30倍増額など盛りだくさん (2026年07月04日)
  5. エディオンら、携帯契約時に義務違反 総務省が発表 NTTドコモにも行政指導 (2026年07月03日)
  6. 転売屋によるスマホ回線の「短期解約」「ホッピング」 総務省の検討する対策は十分なのか? 店員からの意見 (2026年07月03日)
  7. ソフトバンクが「今回もやる」とGalaxy S26を月額1円で販売――販売方法を早急に見直さないと撤退を迫られるメーカーも (2026年03月08日)
  8. アップルがMacBook、iPadなどをついに値上げ――値上げを見送ったiPhoneのXデーはいつなのか (2026年07月05日)
  9. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【7月3日最新版】 「超トク還元祭」で高額ポイントゲット (2026年07月03日)
  10. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」どちらが買いか? 2機種を使い込んで分かった“スペック表にない違い” (2026年04月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー