リトル・ミス・サンシャイン「静かにしろ! 電話だ」Mobile&Movie 第246回

» 2007年02月09日 19時52分 公開
[本田亜友子,ITmedia]
作品名リトル・ミス・サンシャイン(Little Miss Sunshine)
監督ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス
制作年・製作国2006年アメリカ作品


 今回ご紹介するのは、今年度のアカデミー賞の作品・脚本部門にノミネートされている「リトル・ミス・サンシャイン」。個性的なキャラクターが集まった家族が、ミスコン出場を目指して一致団結するロードムービーです。家長のリチャードは、食事中でも旅先でも終始、携帯電話をチェック。それにはある理由が……。

 フーバー一家は、自己啓発セミナー主催者の父リチャード(グレッグ・キニア)を筆頭に、ニーチェを崇拝し沈黙の荒行を続ける15歳の長男ドウェーン(ポール・ダノ)、眼鏡をかけたファニーな容姿でミスコンを目指す9歳の長女オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)、過激な言動で老人ホームを追い出されたグランパ(アラン・ラーキン)と、個性的な面々が勢ぞろい。母のシェリルは、そんなバラバラの家族のまとめ役。

 ある日、仕事場から病院に呼び出されたシェリル。兄のフランク(スティーブ・カレル)が自殺未遂を図ったというのです。幸い、手首に軽い傷を残しただけで済みましたが、フランクは落ち込んだまま。医師には決して一人にしないようにと釘を刺され、シェリルはフランクを家に連れて帰ります。

 さっそくフランクを交え、家族揃ってのディナーとなりましたが、グランパはメニューに文句を言って大騒ぎ。リチャードは食事中も携帯電話をチラチラ、ドウェーンは話し掛けても言葉を口にせず、メモに書いて意思を伝達。そんな家族の光景に呆気にとられるフランク。

 オリーヴは無邪気にフランクの怪我の原因を尋ねますが、リチャードは子供が聞くものじゃないと厳しい態度。

それでも、フランクは訥々と語ります。大学の教え子に恋をしたこと。同じを研究している学者に、その教え子を取られたこと。そして、その教え子が男性であること……。グランパは差別用語でさらに大騒ぎ、リチャードはフランクを負け犬と呼び、子供たちには勝利者になれと説教します。

 重い空気が立ち込める中、シェリルは留守番電話にオリーヴ宛てのメッセージが残っていることに気付きます。それは、リトル・ミス・サンシャインコンテストに出場できるという吉報。オリーヴのはしゃぐ声を、皆喜んで聞いていました。しかし、リチャードだけは顔を曇らせます。それというのも、リチャードは現在無職に近い状態。自己啓発本の出版オファーがあったものの、具体的に進めるとなったら、編集者と連絡が取れなくなってしまったのです。その編集者からの電話を待ち続け、どんな時も携帯をチラ見しているリチャード。

 お金もなく、編集者からの連絡も待ちたいため、ミスコンには行けないと言うリチャード。しかし、シェリルは何とかしてオリーヴを出場させてあげたい、家族全員で行きたい、と抵抗します。シェリルの押しに負けて、ワゴンに家族6人が乗って、ミスコン会場までロングドライブすることに。

 「リチャードだ。連絡を待ってる」

 旅先でも、携帯電話から編集者に留守電を吹き込むリチャード。やがて、ミスコン会場に近付いてきた時、車の運転中にリチャードの携帯が鳴り出します。

 「静かにしろ! 電話だ」

 リチャードは先を急ぐ家族達を無視して、慌てて車を止めて電話に出ます。リチャードは、自分で論じているような勝ち組の成功者になれるのでしょうか? そして、オリーヴはリトル・ミス・サンシャインコンテストに間に合うのでしょうか? アカデミー助演女優賞にノミネートされたオリーヴ役のアビゲイル・ブレスリンちゃんの大変身に注目です。

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